2020 年 5 巻 2 号 p. 100-107
【目的】傍矢状洞髄膜腫の摘出術後に新規出現した硬膜動静脈瘻(DAVF)に対して,皮質静脈直接穿刺による経静脈的塞栓術(TVE)で治療した症例を報告する.【症例】44 歳女性.脳ドックで指摘された傍矢状洞髄膜腫の摘出術が行われ,術1 年半後の頭部MRI で異常を指摘された.脳血管撮影で摘出部に接した傍上矢状洞部DAVF と診断した.経皮的TVE と経動脈的塞栓術ではアクセスルートの蛇行が強く根治が得られなかった.離断術は癒着を考慮し行わず,皮質のdrainer を小開頭で露出,直接穿刺を行い,TVE でシャントは閉塞した.【結論】開頭術後のDAVF は,血管構築や病変癒着を考慮した治療戦略の検討が必要である.