2021 年 6 巻 2 号 p. 103-108
【目的】徐々に増大する上小脳動脈遠位の未破裂血栓化脳動脈瘤に対して,ステント併用コイル塞栓術を施行した症例について報告する.【症例】症例は,繰り返す嘔吐で発症した 74 歳女性.左上小脳動脈(superior cerebellar artery: SCA)遠位に増大傾向を示す未破裂血栓化動脈瘤を認めた. Low-profile Visualized Intraluminal Support Jr.(LVIS Jr.)にて母血管を温存したコイル塞栓術を施行した.術後,嘔吐症状は軽快し,徐々に経口摂取が可能となった.術後 2 年半経過した現在も画像上縮小効果が維持し得ている.【結論】SCA 遠位部血栓化動脈瘤に対する母血管温存したステント併用コイル塞栓術は,長期的なフォローが必要なものの,本症例の経過からみれば効果的であり,治療のオプションの一つになり得ることが示唆された.