2022 年 7 巻 2 号 p. 96-101
【目的】脳動脈瘤コイル塞栓術の際に施行した経頭蓋電気刺激運動誘発電位(transcranial motor-evoked potential: TCMEP)モニタリングによる稀な合併症,咬傷の1例を報告する.【症例提示】53歳男性.突然の頭痛,めまいで発症し,精査にて脳梗塞,左後下小脳動脈解離性動脈瘤を認め,TCMEPモニタリング下にステントアシストコイル塞栓術を施行した.TCMEP刺激時の咬筋収縮による舌裂傷,歯牙欠損を合併し,圧迫による止血が困難であったため,舌を3針縫合した.【結論】血管内治療は,抗血栓療法下に施行することが多く,軽微な傷であっても止血に難渋することがある.術前に舌が咬合部に来ないよう位置を確認することや,柔らかいバイトブロックとティースガードの併用等,TCMEPによる咬傷の予防に細心の注意を払うべきである.