2022 年 7 巻 3 号 p. 144-150
【目的】総頚動脈瘤は脳卒中や拍動性腫瘤で発症し,近年は血管内治療が行われることが多いが,確立した治療はない.大動脈弓に近接する総頚動脈瘤に対して,ガイディングカテーテルやマイクロカテーテルを安定させるための工夫をして,ステント併用コイル塞栓術で治療した1例を経験したので報告する.【症例】74歳女性.最大19 mmの左総頚動脈瘤に対して,stent併用コイル塞栓術を施行した.動脈瘤は左総頚動脈近位部で,大動脈からの分岐角が急峻で,近位の屈曲を伴っていた.8F EBUカテーテルを左総頚動脈起始部に留置し,6Fカテーテルも併用してカテーテル安定を図った.Carotid Guardwire PSのバルーンを外頚動脈で拡張させ,anchoringした状態で,動脈瘤内に5F Envoyを一時的に留置し,マイクロカテーテルを誘導した.頚動脈用自己拡張型ステントを部分展開し,Semi-jailing techniqueでコイル塞栓術を施行した.【結論】総頚動脈近位部瘤に対して,stent併用コイル塞栓術を行った.同部位の動脈瘤に安全に治療を行うためには,カテーテルサポートの工夫が必要であった.