脳血管内治療
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7 巻, 3 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
原著
  • 石原 秀章, 神山 信也, 西田 翔, 熊谷 光祐, 林 真司, 加藤 裕
    2022 年 7 巻 3 号 p. 107-114
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/12/20
    [早期公開] 公開日: 2022/09/30
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】頚動脈高度狭窄症に対するstaged angioplasty(SAP)は過灌流症候群(CHS)予防に有用であるが,弾性反跳(ER)による拡張不全が起こり得る.今回,ERの頻度や臨床的意義を明らかにした.【方法】SAP 49例における拡張直後から15分後の10%を超えるminimal lumen diameter(MLD) lossをERと定義し,2期目CAS時の再狭窄(NASCET≥70%)との関連,再狭窄を予測する閾値を超えたER(重度ER)の頻度と予測因子を検討した.【結果】MLDは0.7±0.3 mmから2±0.5 mmまで改善したが,ERを41例(84%)に認め,5例にCASを要した.術後3日目の麻痺増悪1例にCASを施行したが,全例でCHSは認めなかった.Lumen lossは有意に再狭窄(7例)に関連し(p=0.01),30%を超える重度ER 28例(57%)の予測因子は高齢(>75歳,p=0.01),偏心性狭窄(p=0.02),中心角180°を超える石灰化病変(p=0.04)であった.【結論】高齢および偏心性,石灰化病変ではERによる再狭窄が起こりやすく,早期のCASを検討する.

  • 石毛 良一, 佐々木 亮, 青井 瑞穂, 荒木 孝太, 鈴木 祥生
    2022 年 7 巻 3 号 p. 115-121
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/12/20
    [早期公開] 公開日: 2022/11/02
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】2020年9月に頚動脈ステントCASPER Rxが保険適応となった.頚動脈ステント留置直後や留置後のフォローアップの際には,ステントの外観評価やステント内腔評価を目的に3D-RAを行う機会も多く,その有用性についてはすでに報告されている.CASPER Rx留置後の3D-RA撮影時の至適造影剤希釈濃度についての検討を行った.【方法】ファントムスタディにおける至適造影剤希釈濃度に関する検討結果を参考に,2021年11月から2022年4月までに3D-RAを施行した18例(ステント留置直後11例,フォローアップ7例)の撮影画像を後方視的に検討した.【結果】ファントムスタディで血管,ステント,バックグラウンド3つの濃度差を得たのは7倍希釈から9倍希釈であったが,臨床では血流の影響を受けるため,それよりも濃い造影剤濃度が至適造影剤希釈濃度となる.本研究では4倍希釈で血管,ステント,バックグラウンド3つの濃度差を得た.【結論】造影剤注入速度3.5 mL/secをベースとした場合,CASPER Rxに対する3D-RAの至適造影剤希釈濃度は4倍希釈濃度であった.

症例報告
  • 大塚 俊宏, 熊井 潤一郎
    2022 年 7 巻 3 号 p. 122-127
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/12/20
    [早期公開] 公開日: 2022/07/26
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】閉塞血管に未破裂脳動脈瘤を伴った主幹脳動脈急性閉塞に対し,機械的脳血栓回収術を行った症例を報告する.【症例】74歳女性.起床時に構音障害と左半身麻痺を認め,救急搬入された.最終健常確認は起床9時間前.当院搬入時のNational Institutes of Health Stroke Scale(NIHSS)スコアは20点であった.右内頚動脈後交通動脈分岐部に,未破裂脳動脈瘤を伴う右内頚動脈急性閉塞を認め,血管内治療を行った.吸引カテーテルによる血栓回収術を行い,合併症なく再開通が得られた.術後,左半身麻痺が残存したため,発症1カ月後に回復期病院に転院となった.【結論】未破裂脳動脈瘤を伴う主幹脳動脈急性閉塞では,血行再建術中に脳動脈瘤破裂のリスクがあり,適切な治療戦略が必要である.

  • 土屋 尚人, 大久保 升誉, 吉田 至誠, 吉村 淳一, 長谷川 仁
    2022 年 7 巻 3 号 p. 128-136
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/12/20
    [早期公開] 公開日: 2022/09/29
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】うっ血乳頭で発症した上矢状静脈洞部硬膜動静脈瘻に対し,複数回の血管内治療を行い,動静脈シャントの消失を得たが,視機能の改善が得られなかった症例を報告する.【症例】52歳男性,進行性の両側視力障害で発症し,上矢状静脈洞後半部に多発性の動静脈シャントを有する硬膜動静脈瘻と静脈洞の狭窄を認めた.N-butyl-2-cyanoacrylate(NBCA)による経動脈的塞栓術後にOnyxによる塞栓術を追加し,動静脈シャントはわずかに残るのみとなったが,視力は不変であった.その後上矢状静脈洞はisolated sinusとなり,視力障害は高度となった.皮質静脈逆流が見られ,出血予防のため経静脈的に上矢状静脈洞のpackingを行った.動静脈シャントおよび皮質静脈への逆流は完全に消失したが,視力の改善は得られなかった.【結論】うっ血乳頭を来した静脈洞狭窄を伴う上矢状静脈洞部硬膜動静脈瘻においては,視力障害進行予防のため早期の動静脈シャント閉塞が必要である,頭蓋内圧の低下が得られない場合は,さらに髄液シャントや静脈洞の血管形成,ステント留置を検討する必要がある.

  • 長 順之, 芳村 雅隆, 稲葉 雄一郎, 林 俊彦, 金岡 杏純, 伊藤 慧, 清川 樹里, 廣田 晋, 山本 信二
    2022 年 7 巻 3 号 p. 137-143
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/12/20
    [早期公開] 公開日: 2022/11/02
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】血瘤腫は,上顎洞に好発する易出血性の良性腫瘤性病変である.手術摘出が原則であり,術前塞栓の報告はあるが,血管塞栓術単独治療の報告はない.手術リスクの高い高齢患者に対して,塞栓術単独治療を行い,良好な止血効果と腫瘤の縮小を得た1例を報告する.【症例】87歳男性.輸血を要する重度の鼻出血を繰り返した左上顎洞血瘤腫に対して,栄養血管である蝶口蓋動脈をn-butyl cyanoacrylateで塞栓した.術後4カ月の観察期間中,鼻出血は停止し,CTで腫瘤の縮小を認めた.【結論】鼻出血が主症状で,手術リスクが高い血瘤腫に対して,姑息的ではあるものの,塞栓術単独治療は選択肢の一つとなり得る.

  • 久司 一貴, 佐藤 慎祐, 田中 優貴子, 望月 達城, 石川 友美, 島 彰吾, 石塚 健太郎, 劉 美憬, 井上 龍也, 岡田 芳和, ...
    2022 年 7 巻 3 号 p. 144-150
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/12/20
    [早期公開] 公開日: 2022/11/09
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】総頚動脈瘤は脳卒中や拍動性腫瘤で発症し,近年は血管内治療が行われることが多いが,確立した治療はない.大動脈弓に近接する総頚動脈瘤に対して,ガイディングカテーテルやマイクロカテーテルを安定させるための工夫をして,ステント併用コイル塞栓術で治療した1例を経験したので報告する.【症例】74歳女性.最大19 mmの左総頚動脈瘤に対して,stent併用コイル塞栓術を施行した.動脈瘤は左総頚動脈近位部で,大動脈からの分岐角が急峻で,近位の屈曲を伴っていた.8F EBUカテーテルを左総頚動脈起始部に留置し,6Fカテーテルも併用してカテーテル安定を図った.Carotid Guardwire PSのバルーンを外頚動脈で拡張させ,anchoringした状態で,動脈瘤内に5F Envoyを一時的に留置し,マイクロカテーテルを誘導した.頚動脈用自己拡張型ステントを部分展開し,Semi-jailing techniqueでコイル塞栓術を施行した.【結論】総頚動脈近位部瘤に対して,stent併用コイル塞栓術を行った.同部位の動脈瘤に安全に治療を行うためには,カテーテルサポートの工夫が必要であった.

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