2023 年 8 巻 2 号 p. 55-62
【目的】上眼静脈(SOV)の直接穿刺で治療したアプローチ困難な海綿静脈洞部硬膜動静脈瘻(CSDAVF)の1例を報告する.【症例】61歳男性,結膜充血,眼球突出,色覚異常,眼圧上昇を認め,DSAにてCSDAVFと診断した.下錐体静脈洞や顔面静脈を経由した塞栓術を2度試みたが,血栓閉塞や血管狭窄,蛇行のためアプローチできなかった.このためorbital approachの方針とした.眼窩隔膜を切開して貫通する血管を確保し,DSAでSOV分枝と確認した.直視下でSOV下枝を穿刺し,マイクロカテーテルを誘導してコイル塞栓を行った.穿刺部は術後に結紮して止血した.【結論】Orbital approachはアプローチ困難例において有効であり,直視下に穿刺することで,合併症の少ない手技が可能である.