脳血管内治療
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8 巻, 2 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
原著
  • 佐藤 文貴, 田邉 頌章, 森下 猛史, 坂口 隆, 増尾 修, 鐵尾 佳章, 高瀬 香奈, 磯崎 潤, 青柳 孝行, 戸田 博幸
    2023 年 8 巻 2 号 p. 49-54
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/09/20
    [早期公開] 公開日: 2023/07/05
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】CT灌流画像(CT perfusion: CTP)は,脳血流量を定量的に評価する検査法であり,検査の簡便性や迅速性から有用性の高い検査法である.しかし,1回の検査を施行する際に複数回照射するため,患者への被ばくが大きい.当院では,メーカー推奨のプロトコルで撮影を行っているが,スキャン回数を減らすことで,結果に影響を及ぼさず被ばく線量を低減できるかどうか,後ろ向きに検討を行った.【方法】脳虚血性患者でCTPを施行し,通常のプロトコルのデータ(早期相16スキャン+後期相4スキャン)と,早期相を半分の8スキャンに間引いたデータをそれぞれ解析にかけた.解析のアルゴリズムにはベイズ推定法を用い,視覚評価と定量評価で比較した.視覚評価は,4名の評価者が一対比較法による評価を行った.定量評価は,大脳皮質領域両側にregion of interest(ROI)を設定し,各解析法について対側比の値を比較した.【結果】視覚評価では,すべてのパラメータで通常データと間欠データに有意差は認められなかった.定量評価においても同様であった.【結論】メーカー推奨のプロトコルよりも少ないスキャン回数にしても,結果に影響を及ぼさない範囲で,被ばく線量を減らすことができることが示唆された.

症例報告
  • 清本 政, 佐藤 栄志, 末松 慎也, 中内 淳
    2023 年 8 巻 2 号 p. 55-62
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/09/20
    [早期公開] 公開日: 2023/05/12
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】上眼静脈(SOV)の直接穿刺で治療したアプローチ困難な海綿静脈洞部硬膜動静脈瘻(CSDAVF)の1例を報告する.【症例】61歳男性,結膜充血,眼球突出,色覚異常,眼圧上昇を認め,DSAにてCSDAVFと診断した.下錐体静脈洞や顔面静脈を経由した塞栓術を2度試みたが,血栓閉塞や血管狭窄,蛇行のためアプローチできなかった.このためorbital approachの方針とした.眼窩隔膜を切開して貫通する血管を確保し,DSAでSOV分枝と確認した.直視下でSOV下枝を穿刺し,マイクロカテーテルを誘導してコイル塞栓を行った.穿刺部は術後に結紮して止血した.【結論】Orbital approachはアプローチ困難例において有効であり,直視下に穿刺することで,合併症の少ない手技が可能である.

  • 野川 博嗣, 水谷 克洋, 秋山 武紀, 佐柳 太一, 久保 創, 戸田 正博
    2023 年 8 巻 2 号 p. 63-67
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/09/20
    [早期公開] 公開日: 2023/06/07
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】我々は,文献上報告のない上眼窩裂周囲に多房性の静脈腔を伴う動静脈シャントを経験したため報告する.【症例】51歳女性で,幼少期に右眼窩内の血管奇形で右前頭側頭開頭による手術歴があった.右眼痛,右眼球突出,右眼球結膜充血を認めた.血管造影検査にて蝶形骨縁から中頭蓋底にかけての上眼窩裂付近に特異的な多房性の静脈腔を認め,その静脈壁に比較的限局した動静脈シャントを認めた.外頚動脈の末梢の分枝から栄養され,上眼静脈へシャント血流は流出していた.動静脈シャントが形成された静脈腔は,上眼静脈や海綿静脈洞に連続していたが,単一の静脈というよりは多房性の静脈構造であり,静脈奇形などに続発した動静脈シャントであると思われた.選択的経静脈的塞栓を行い,動静脈シャントは消失し,眼症状も消失した.【結論】眼窩血管奇形の術後に,動静脈シャントが残存した静脈壁に形成されることがある.経静脈的塞栓術が有効な治療となり得る.

  • 磯﨑 潤, 増尾 修, 鐵尾 佳章, 高瀬 香奈
    2023 年 8 巻 2 号 p. 68-73
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/09/20
    [早期公開] 公開日: 2023/07/14
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】母血管に高度狭窄を伴う未破裂椎骨動脈瘤のコイル塞栓術で,Marathonが有用であった症例を報告する.【症例】59歳男性は,偶発的に長径10 mmの右椎骨動脈後下小脳動脈(VA-PICA)分岐部動脈瘤を指摘された.右VAはPICA end, ネックから近位VAに高度狭窄を認め,以前の経過よりVA解離後の解離性動脈瘤と推測された.塞栓術中SL-10を瘤内に誘導すると狭窄部で血流停滞し,瘤とPICAが描出されず,SL-10をMarathonに変更後,いずれも描出され手技を完遂し得た.【結論】Marathonについて,主幹動脈瘤のコイル塞栓術で母血管の狭窄を理由に用いた報告はこれまでなく,有用な選択肢と成り得る.

テクニカルノート
  • 木田 波斗, 福井 直樹, 山﨑 大智, 道上 怜奈, 濱田 史泰, 川西 裕, 上羽 佑亮, 門田 知倫, 中居 永一, 福田 仁, 上羽 ...
    2023 年 8 巻 2 号 p. 74-80
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/09/20
    [早期公開] 公開日: 2023/05/18
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】母血管閉塞術(parent artery occlusion: PAO)は,脳動脈瘤治療の一つとして知られているが,虚血性合併症率は比較的高い.それを低減するために,我々はステントを用いて意図した部位を確実に塞栓できる方法(PACS法)でPAOを行ったので報告する.【症例】母血管閉塞が必要で,閉塞目的部位に分枝が近かった3症例を対象とした.母血管の閉塞したい部位に脳動脈瘤アシスト用のステントを留置し,そのステントに絡ませるようにコイルを挿入することで,意図した範囲でPAOを施行し得た.全症例で分枝血管は温存され,虚血性合併症を生じることなく確実なPAOを行うことができた.【結論】本法は意図した部位での確実な母血管閉塞が必要な場合,また,コイルのみではanchoringが困難な場合の一法として有用である.

  • 朝倉 健登, 福井 伸行, 今村 博敏, 小柳 正臣, 後藤 正憲, 福光 龍, 春原 匡, 髙野 裕樹, 春山 裕典, 呉 浩一, 梶浦 ...
    2023 年 8 巻 2 号 p. 81-87
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/09/20
    [早期公開] 公開日: 2023/06/13
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】脳血管内治療を行う際,胸部大動脈瘤に対する人工血管置換術後や血管蛇行が強い場合は頚動脈穿刺が考慮される.今回,我々は未破裂巨大脳動脈瘤に対して,頚動脈露出後に直接穿刺により2本のガイディングシースを留置し,コイル併用フローダイバーター留置術を行い,良好な治療経過が得られたため報告する.【症例】83歳男性.頭部MRIで,左内頚動脈海綿静脈洞部に長径31 mmの巨大脳動脈瘤を指摘された.穿刺孔の細径化等に配慮し,ガイディングシースを用いた脳動脈瘤塞栓術を施行した.【結論】胸部大動脈に対する外科的治療後の未破裂脳動脈瘤に対して,頚動脈直接穿刺下,ガイディングシースを用いたフローダイバーター留置術が有用であった.

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