論文ID: cr.2022-0002
【目的】脊髄症を呈したテント部硬膜動静脈瘻(dAVF)に対し,n-butyl-2-cyanoacrylate(NBCA)を用いた経動脈的塞栓術(TAE)を行い,治癒し得た1例を報告する.【症例】65歳男性.徐々に進行する両下肢麻痺で発症した.MRIで延髄から頚髄にかけ浮腫像を認め,血管撮影で右中硬膜動脈(MMA)や内頚動脈(ICA)など複数の動脈がテント部に短絡し,脊髄静脈へと還流していた.ICAのmeningohypophyseal trunk(MHT)起始部でバルーンを拡張し,flow control下にMMA petrosquamous branchから12.5%のNBCAを用いたTAEを行い,術直後はシャントがわずかに残存したが,術後21日目に血管撮影で完全閉塞を確認し得た.【結語】脊髄症を呈したテント部dAVFに対し,NBCAを用いたTAEが有用であった.