論文ID: oa.2021-0019
【目的】大動脈弓部病変に対し,頚部血管バイパス後にステントグラフトを留置する debranching thoracic endovascular aortic repair(TEVAR)が増加しており,脳血管内治療の際アクセス困難が生じ得る.Debranching 形式に応じたアクセスルート選択につき,自験例を交え報告する.【方法】Debranching TEVAR 後に脳血管内治療を行った症例の大動脈病変 zone 分類,再建形式,アクセスルート等を検討した.【結果】合計 4 例中,zone 0 1 例,zone 1 2 例,分類不能 1 例で再建形式は total 1 例,2 枝 2 例,1 枝+Chimney 再建 1 例であった.疾患は未破裂脳底動脈瘤 1 例,direct carotid cavernous fistula 1 例,鎖骨下動脈瘤 1 例,急性期脳底動脈閉塞1 例であり,経上腕動脈アプローチが 3 例,total debranching の 1 例で直接穿刺を要した.アクセスルートに関連した合併症はなかった.【結論】Debranching TEVAR の適応拡大に伴い,こうした症例に遭遇する機会は増加すると思われ,アクセスルートの問題と対策について認識しておく必要がある.