抄録
リンパ球性下垂体炎と類似した海綿静脈洞部肥厚性硬膜炎の1例を報告する。症例は56歳女性、頭痛、下垂体不全と尿崩症で発症した。リンパ球性下垂体炎が疑われステロイド療法が施行されたが、複視、右顔面知覚障害と尿崩症の悪化で再発した。MRI,脳血管撮影と経蝶形骨洞的生検術などにより特発性肥厚性硬膜炎と診断した。当初ステロイドが有効であったが再発を繰り返し抵抗性となったため、大量ステロイドの短期パルス療法を行い軽快した。特発性肥厚性硬膜炎の病態は多彩であり、その経過は基本的にself-limitedと考えられる。炎症性病変はしばしば周囲組織へも波及するが、本例のような“2次性”下垂体炎はリンパ球性下垂体炎との鑑別が必要である。