1998 年 38 巻 9 号 p. 557-561
症例は意識消失で発症した65歳女性。両側高度内頚動脈狭窄症と診断し、まず左頚動脈内膜剥離術を施行した。術後6日目に突然見当識障害、全失語及び右片麻痺の発作を来した。MR angiographyで内頚動脈の閉塞はなく、SPECTで左半球の脳血流の増加がみられ、経頭蓋超音波ドプラで左中大脳動脈(MCA)血流速度の著明な増加が認められたためhyperperfusion syndromeと診断した。発症2時間後のDWIで左MCA領域は広汎な高信号像を呈した。厳重な血圧の管理、抗浮腫治療により症状は術後11日目に消失した。術後15日目のDWIでは左MCA領域の高信号域は著名に軽減していた。DWIは本症の病態の評価及び経過観察に有用と思われた。