日本農村医学会学術総会抄録集
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第54回日本農村医学会学術総会
セッションID: 1C06
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一般演題
CSアンケート分析
患者は何を求めているのか?
山内 徹平野 秀博白井 徹也鈴木 宏
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抄録

(緒言)<BR> 平成12年秋の新築移転後設置されたCS委員会では患者満足度調査を毎年実施し、地域に選ばれる病院となることを目指してきた。しかしながら、そのアンケート調査の分析は十分に行なわれておらず各項目の満足度が公表されているのみであった。そこで、平成16年に行なわれた調査結果を実際に活用出来るように見直してみることとした。<BR>(方法)<BR> <クロス集計による患者のグループ化><BR> 今回実施したアンケートは、大きく分類すると接遇、施設、時間、診療情報・内容、全体的な満足度に分けられた。回答結果の集計は、Microsoft Accessにて実施し、各回答者にIDを付け整理する事とした。次に全体的な質問のなかの3項目に着目した。(1)「当院を受診してみてどうか?」(2)「次回も当院を利用したいか?」(3)「当院を知人に紹介したいか?」いずれの項目も非常に満足から非常に不満まで回答は分かれているが、中には(1)に非常に満足していても(2)では非常に不満(絶対利用したくない)と回答している患者もいることが判明した為、(1)、(2)、(3)の結果をクロス集計することによって、非常に満足から非常に不満まで回答のブレをなくすこととした。その結果、アンケート回収は 1,498件であったが、各項目に等しく満足、不満足と回答されたもの675件を5つのグループ(A,B,C,D,E)に分け、調査分析の対象とした。<BR>:(イ)満足度向上効果(不満解消効果)の測定、(ロ)現実とのギャップの確認:<BR> まず、AからEの各グループの接遇、施設、時間、診療情報・内容に関する満足度を集計し、項目別の満足度を比較してみることとした。さらに、その結果を最も人数が多いC(普通)グループの満足度と比較することにより理想と現実、非常に不満なEグループとAグループの比較により理想と不満のギャップを測定した。<BR>(結果)<BR> Aグループの満足度は接遇( 93.0%)、診療情報・内容(86.5%)、施設(82.7%)、時間(78.0%)となっており、数字の大きい順に満足度向上効果が高いと考えられた。Eグループでは診療情報・内容(34.4%)、時間(48.0%)、施設(54.5%)、接遇(64.2%)となっており、この場合数字が小さい順に不満解消効果が高いと考えられた。また、理想と現実のギャップは、診療情報・内容(27.2)、時間(25.2)、接遇(23.4)、施設(22.3)であり、理想と不満のギャップは、診療情報・内容(52.1)、時間(30.0)、接遇(28.8)、施設(28.2)という結果であった。そこで、(イ)と(ロ)をクロス集計することによって、理想と現実のギャップが大きく、尚且つ満足度向上効果の高いものといった具合に、取り組むべきものに順位づけをすることが出来た。<BR>(考察)<BR> これまでは個別の項目に対し患者満足度を測定してきたのみであったが、クロス集計することによりブレのない有効な回答に絞り込み、分析することが可能となった。その結果、満足度向上を目指すのか、不満解消を図るのか、実施すべき内容に違いのあることが判明したと同時に、ギャップを測定することにより取り組むべき優先順位も判明した。<BR> これまでCS委員会では職員の接遇に力を入れて活動してきたが、今回の結果により今後の取り組むべき課題の方向性が見えてきたと思われる。

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© 2005 一般社団法人 日本農村医学会
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