日本農村医学会学術総会抄録集
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第55回日本農村医学会学術総会
セッションID: 2F02
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マンモグラフィ検診における精密検査症例の追加撮影法について
奥村 暁恵
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抄録

<緒言> 近年、乳がん罹患率及び死亡率は増加傾向にあり、早期発見・早期治療の重要性が叫ばれている。早期発見のためにはマンモグラフィ併用乳がん検診(以下、マンモグラフィ検診)が非常に有効であり、マスコミなどでも取り上げられる機会が増え、認知度が高まっている。実際に当院でも検診マンモグラフィの撮影件数は増加傾向を示し、ある程度の知識を持っている受診者も見受けられる。マンモグラフィ検診におけるマンモグラフィの最も重要な役割は異常の有無を確認する存在診断である。しかし、マンモグラフィの役割はそれだけではない。良好なポジショニングで標準撮影を行い、さらに適切な方法で追加撮影を行うことによって情報量を増やし、鑑別診断・再現性の確認を行うことが可能となり、治療に貢献し、QOLの向上に寄与することができる。そこで、今回はマンモグラフィ検診において、マンモグラフィで要精密検査となった症例に対して追加撮影法の必要性、さらに有効な撮影方法について検討する。
<方法> 2005年、当院でのマンモグラフィ検診受診者は500名であった。このうち96名が要精密検査となったが、当院ではこれらの症例に対しては追加撮影を行わずに超音波検査を行い、さらに必要な場合はMRI検査を行っていた。2006年は要精密検査症例に対しても追加撮影を行うこととし、超音波検査、さらに必要な場合はMRI検査を行うこととする。ここで追加撮影法についても検討し、2005年と2006年の比較、さらに追加撮影を行ったことによってカテゴリー分類に変化が生じたか、鑑別診断・再現性の確認を行うことが出来るかどうかについて考える。
<結果> 2005年のマンモグラフィ検診受診者500名のうち、カテゴリー1が384名(76.8%)、カテゴリー2が20名(4%)、カテゴリー3が95名(19%)、カテゴリー4が1名(0.2%)であった。また、カテゴリー3のうち、約半数の所見が局所的非対称性陰影(以下、FAD)であった。このうちカテゴリー3以上が要精密検査となる。当院乳腺外来を受診し、最終的にMRI検査を受けたのは12名であったが、すべての症例において異常なし、あるいは良性疾患であった。2006年については現在検討中であるが、再現性(特にFADについて)・鑑別診断は当然のことながら、視触診の結果も踏まえて追加撮影を行うことにより、超音波検査やMRI検査にも貢献し、さらに検査の精度を高めることができると考えられる。

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© 2006 一般社団法人 日本農村医学会
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