日本農村医学会学術総会抄録集
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ISSN-L : 1880-1730
第55回日本農村医学会学術総会
セッションID: 2F17
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一般演題
休日における心臓リハビリテーションへの取り組み
鈴木 舞金 ひとみ松山 ふみ子熊谷 洋子高橋 真奈美佐藤 住恵佐藤 敏光吉田 世津子三浦 鋭子
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抄録

〈緒言〉
 当病棟では、これまで急性心筋梗塞リハビリテーションクリニカルパス(以下、パスとする)は4週間パスを使用していた。急性心筋梗塞を発症する患者は壮年期に多く、入院により仕事を休む、家庭を留守にするということで精神的ストレスを抱えている。そこで、より短い3週間パスが検討された。しかし、心臓リハビリテーション(以下、心リハとする)は従来、指導士の資格をもつ専任看護師に一任しており、休日の心リハは実施されていなかった。今回、3週間パスの導入にあたり、休日の心リハを病棟看護師が行うことで、入院期間短縮を図った。しかし、病棟看護師からのアンケート調査の結果、休日の心リハ実施に対し、全員が不安だと答えた。そこで、効果的かつ安全に休日の心リハを実施できるよう取り組んだので報告する。
〈方法〉
 1.期間:平成17年5月から12月
 2.対象:病棟看護師21名
 3.方法
  1)心リハのマニュアル作成
  2)専任看護師と病棟看護師間の申し送り書の作成
  3)専任看護師による学習会実施
  4)平成17年9月から3週間パスの使用開始
    休日の心リハ開始(患者10名に実施)
〈結果〉
 休日に心リハを行うことに対し、病棟看護師全員が不安だと答えた。そこで、マニュアルを作成した。内容は、心リハの具体的手順や危険な不整脈、心電図変化等とした。次に、病棟看護師と専任看護師での申し送り書を作成した。専任看護師から病棟看護師への申し送り書は、依頼内容、冠動脈インターベーション(以下、PCIとする)の施行部位、残存狭窄部位、左室駆出率を記載し、病棟看護師から専任看護師へは、心リハ中のバイタルサイン、症状、依頼内容を記載した。どちらにも、不整脈出現の有無を載せ、ST変化を誘導毎に記入できる表形式とした。そして、注意事項を含め、これらについて、専任看護師による学習会を実施した。学習会後、見学・実施し、未経験者に対しては、伝達指導する体制とした。さらに情報が共有できるよう、心リハ実施前に不整脈発生の危険性やPCI、心エコーの所見及び合併症の有無について、カンファレンスを施行し、医師の許可のもと10症例に3週間パスを使用し、休日の心リハを実施した。これらの取り組みの結果、休日における心リハ実施に向けて、不安の軽減や自己学習意欲の向上につながり、病棟看護師90%の意識が向上した。現在、21名中17名の病棟看護師が心リハを経験しているが、実践の場での判断や対処に関しては、未だ不安をもっていることは事実である。今後は、心リハの経験を積み重ね、3週間パスを一層浸透させるとともに、心電図の判読をはじめ、実践の場での判断力を高める必要がある。更に、病棟看護師の意見を取り入れ、マニュアル、申し送り書の改良をし、より充実したものにできればよいと考える。

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© 2006 一般社団法人 日本農村医学会
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