日本農村医学会学術総会抄録集
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第55回日本農村医学会学術総会
セッションID: 1D04
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受診者からみた当院のマンモグラフィ
田代 和広知々田 勝之吉田 豊
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抄録
<緒言>マンモグラフィは、一人の女性が繰り返し行う検査となった。しかし、羞恥心や痛みを伴うため十分な配慮が必要である。
 今回我々は、当院のマンモグラフィ受診者に対し「満足度」のアンケート調査を行った。その結果より、受診者の心理状態を分析し、取り組みを検討したので報告する。
<方法>当院のマンモグラフィにおいて、取り組みの効果がどれだけあるのかを客観的に知るために、アンケートを実施した。マンモグラフィ受診者を全てとし(乳がん検診100名、乳腺外来50名の計150名)、143名から有効回答が得られた(回答率95.3%)。
アンケート内容は以下の通りである。
 1)マンモグラフィを知っていましたか?
 2)白手袋、ガウンはどう思いましたか?
 3)マンモグラフィ「満足度」をお答え下さい。
 4)パネルを使った説明で理解できましたか?
 5)撮影時痛みはありましたか?
 6)マンモグラフィをまた受けたいと思いますか?
 7)女性技師、男性技師のどちらが良いですか?
 マンモグラフィ施行直後に無記名で答えてもらい、回収ボックスへの投函するよう促し、個人を特定しないようにした。アンケート集計は項目別にグラフ化し傾向の把握を行い、またそれぞれの項目と「満足度」を照らし合わせ、受診者心理の分析も行った。
<結果>
(1)当院の取り組み
 1)受診者用自作ガウン
 2)撮影技師の白手袋着用
 3)パネルによる説明
 裸(はだか)で撮影の説明と了承、圧迫のメリット、圧迫時の痛み、再撮影の可能性、質問の受付を約5分で行い、技師間のバラツキをなくすため、マニュアル化した。
(2)アンケートの結果
各項目の結果につき図1から図8に示す。
<考察>「パネルによる説明の理解度」が高いと「満足度」も高い。これは、受診前の不安や疑問が払拭できたからだと考えられる。
 「圧迫による痛み」と「満足度」は直接関係がなかった。これはマンモグラフィに対する理解度が高い、すなわち圧迫によるメリットをよく理解していたためと考えられる。
 「パネルによる説明の理解度」は受診意欲に密接に関係するため、不用意な説明では今後の受診意欲低下につながるおそれがある。
 担当技師は、「男性」よりは「女性」がよいと答えているが、「どちらでもよい」がそれよりも有意に多かった。当院は男性技師しかおらず、受診者から担当技師への労いの意も含まれている可能性がある。
<結語>今回の結果で、「満足度」を一つの指標とすることで受診者心理の把握が行えた。マンモグラフィでの十分な説明は「痛い検査だからいや」、という概念を払拭できる可能性があることから総合的な「満足度」には、インフォームド・コンセントが最も重要であることがわかった。
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© 2006 一般社団法人 日本農村医学会
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