日本農村医学会学術総会抄録集
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第56回日本農村医学会学術総会
セッションID: workshop-2
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ワークショップ-2
メタボリックシンドロームの予防・診断・治療
藤原  秀臣塩飽  邦憲
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抄録

メタボリックシンドロームは従来の生活習慣病の概念を発展させ、肥満に注目して動脈硬化の危険因子を総体的に捉えたものであります。すなわち、栄養過剰や運動不足などの近代の生活習慣が肥満を招き、耐糖能異常、高脂血症、高血圧などの危険因子が一個人に集中することで動脈硬化性疾患が発生しやすくなることに警鐘を鳴らしているものです。当初、この疾患概念はReaven G (1988)がシンドロームXとして提唱していたものですが、最近になってWHOや米国NIH、さらに国際糖尿病連盟などがメタボリックシンドロームの診断基準を発表し、注目されるようになったものです。日本では、松澤佑次らが1994年より内臓脂肪型肥満の概念を発表し、さらに、内臓脂肪組織よりIL6やTNF-などのサイトカインを分泌する内分泌機能組織として捉えているところに特徴があります。内臓脂肪(内臓肥満)がそのリスクの中心にあり、脂肪細胞の機能異常が直接血管障害を起こすとされています。一方、アメリカ糖尿病学会などは、メタボリックシンドロームのコア病変はインスリン抵抗性と捉えており、日本やヨーロッパの学会とは違いが見られます。 肥満対策が健康維持に不可欠であるとの啓発活動も普及し、最近では肥満の基準としての腹囲測定が一般検診でも一般化してきましたし、食事、運動を中心にした生活習慣への関心も高まってきています。しかし、その疾患概念にも、診断基準にも未だに議論があり、予防や治療も多岐に亘るのが現状です。 そこで、今回のワークショップでは比較的新しい症候概念であるメタボリックシンドロームについて、その疾患概念(今井泰平:土浦協同病院内分泌科科長)、疫学的視点(塩飽邦憲:島根大学医学部環境予防医学教授)、機序と病態(吉川隆志:帯広厚生病院内科医長・健康管理センター)、予防と治療(大林浩幸:東濃厚生病院内科・アレルギー呼吸器科部長)、外科治療(川村功:下都賀総合病院院長)について、5人の先生のご発表をいただきます。それぞれの演者により様々な角度からの解説と研究成果等をご披露いただきますが、特に外科治療についてはメタボリックシンドロームに対する最新の特殊治療であり興味深いお話が伺えると思います。

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© 2007 一般社団法人 日本農村医学会
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