日本農村医学会学術総会抄録集
Online ISSN : 1880-1730
Print ISSN : 1880-1749
ISSN-L : 1880-1730
第57回日本農村医学会学術総会
セッションID: 2J257
会議情報

一般講演
頭頚部における4D造影MR-Angiographyの抽出能の検討
(4D-TRAK,CE-MRAの抽出能の検討)
住田 知隆松田 盛功川合 信也越川 和博小林 望水谷 弘二
著者情報
キーワード: 4D-TRAK, 4D-MRA, MR-DSA
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

【はじめに】
 頭部のMRA(Magnetic Resonance Angiography)はTOF-MRA(Time of flight-MRA)などで撮影されている。この撮影は時間分解能を持たない画像である。そのため、脳腫瘍や動静脈奇形などの造影剤による抽出状況や支配血管を経時的に抽出することを要求される時には使用できない撮影法である。そこで今回、時間軸分解能と高速イメージングを利用した血管造影法、4D-TRAK(4D Time-Resolved Angiography using Keyhole),CE-MRAについて検討したので報告する。
【撮影方法】
 臨床において頭部造影検査およびMR-DSAの依頼を受けている心疾患を持たない患者様にカニューラ針を肘静脈内側に確保し、急速注入できるようにした。
 撮影装置 Philips Achieva 1.5T
 基本シーケンスは、3D-T1FFE撮影法でTE=1.3msec(最短),TR=3.7msec(最短),Flip angle=25°,FOV=230mm,slice数=85slice,phase数=25,Keyhole=20%とした。撮影方向は頚動脈~前大脳動脈・中大脳動脈が観察できるように冠状断像(coronal views)を撮影する。造影剤はGd造影剤をMEDRAD社製のダブルシリンジを用いて造影剤注入後に生理食塩水30mlを後押しする。また、造影剤注入5秒後から撮影を開始する。
【造影剤注入量の検討】
 造影剤注入量を求めるために、注入速度を3ml/sec一定とし、注入量を7~12mlまで変化させ視覚的評価した。
【造影剤注入速度の検討】
 造影剤注入速度求めるために、注入量を10ml一定とし、注入速度を2~4ml/secを変化させ視覚的評価した。
【考察】
 注入量が少ないと抹消血管の抽出能が低下する。抽出能をある程度の得るためには、8ml以上が必要かと思われる。注入量が12mlの場合、3ml/sec一定なので4秒かかるため、静脈からのwash outに時間が必要となる。造影剤が多くなると脳内に造影剤が存在する時間が長くなり、動静脈が同時に抽出されるようになるので経時的変化が得られなくためと考える。
 注入速度が速くなるとボーラス性が高くなり、画像コントラストが向上すると考えるが脳血管の抽出能は3ml/sec以上でほとんど同等と思われる。それは、1画面あたりの造影剤量がプラトーになるためと考えられる。また、注入速度を上げると脳内の循環時間が早くなり、静脈相が早い時間で抽出されることになる。したがって注入速度を上げると経時的変化を観察しているため、時間的な分解能を上げる必要がある。
【結論】
 上記の考察から動脈および静脈の抽出を考慮した結果で注入量8~12ml(10ml基準)、注入速度は2.5~3.5ml/sec(3ml/sec基準)が良いと思われる。

著者関連情報
© 2008 一般社団法人 日本農村医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top