日本農村医学会学術総会抄録集
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第57回日本農村医学会学術総会
セッションID: 2J258
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一般講演
当院におけるMRマンモグラフィ検査
仲山 剛史柳原  利行田中 史朗高橋 治海竹内 賢山本 悟
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抄録

【はじめに】
 日本人女性で最も罹患率の高い癌である乳癌は診断法も治療法も比較的多彩な疾患である。乳房の画像診断法として有用性が確立されているものはX線マンモグラフィ(MMG)と超音波(US)検査が挙げられるが近年乳房疾患に伴いMRIによる検査が増加している。  MRマンモグラフィでの検査目的は乳癌の良悪性の鑑別もさることながら乳房温存療法の適用を判断し、癌による進展範囲の診断に用いられる事が多くなってきている。 また、最近ではハードやソフト面の進歩により質的診断や両側乳腺の撮影、化学療法の効果判定にも利用されるようになってきている。  当院では昨年11月よりGEYM社製SignaHDx(1.5T)が導入され乳腺領域の活用が期待されている。そこで今回、当院のMRマンモグラフィの検査方法を症例も加えて報告する。

【使用機器】
装置:GEYM社製 SignaHDx 1.5T(Ver.14)
使用コイル:8channel breast array coil
MR造影剤注入装置:根本杏林堂社製 ソニックショットGX

【MRマンモグラフィの対象】
・MMG・USにてカテゴリー3以上の症例(嚢胞性病変を除く)
・MMG・USの所見より乳房温存療法の適用判定
・MMG・USの結果が一致しないなどの良悪性の判定が困難な症例
・化学療法効果判定
・血性乳頭分泌やリンパ節を触知するが、MMG・USでの異常を検出できない症 例
・ハイリスク患者

【撮像方法】
1、前室にてルートを確保する
2、腹臥位にてポジショニングを行う
3、単純撮像(両側DWI、患側T2Sag、患側非脂肪抑制T1Sag)
4、Dynamic撮像(Pre、90,180,300Sの3相とする)
5、Dynamic後期撮像(両側Axi、患側Cor)
6、MRS(1cm以上の腫瘤を認めたときのみ)

【まとめ】
 装置の進歩による空間分解能の向上により以前では描出困難であった乳管内進展などの微細な病変も描出可能となった。腫瘤の辺縁の構造や内部の造影パターンの描出により組織型の鑑別も可能となってきた。また、両側それぞれにある局所シミング(バイブラントシム)を使用することにより乳腺MRIでは欠かせない脂肪抑制のかかりも向上した。以上のような撮像技術の進歩による画質の向上により診断能が格段に向上したと思われる。

【今後の展望】
乳房診療におけるMRマンモグラフィの役割は、近年著しい変移をとげてきた。これは撮影技術の進歩により高分解能な画像の取得が可能になったこと、温存手術の増加による乳癌の広がり診断の必要性、早期発見への意識の高まりなどによるものと考える。少なくとも乳房温存術前のMRI撮像は標準的なモダリティーの選択肢となりつつある。今後は現在のシーケンスの改良などによりさらなる空間分解能の向上を目指し、また形態的な診断だけではなく拡散強調像やMRSといった機能的診断の方向からもアプローチしていけることが予想される。これら撮像技術のさらなる進歩により診断能がよりいっそう向上していくことを今後も期待したい。

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© 2008 一般社団法人 日本農村医学会
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