日本農村医学会学術総会抄録集
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第58回日本農村医学会学術総会
セッションID: 27-15
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O-armを使用した術中の被曝線量測定
伊藤 光洋伊藤 良剛吉川 秋利大竹 正一郎
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抄録

〈緒言〉整形外科の手術の際にC アーム型の外科用透視 装置が広く使用されているが,当院では2009年4月に本邦 初となる最新のO-arm を導入した。従来のC アームと同 様に透視が可能であるが,3D 画像を作成する際の収集 角度は,従来のC アームでは190°であるのに対し,O-arm では360°である。この収集角度の差によって,3D 画像 の精度,画質の向上が期待されている。今回はこの最新の 装置を使用した手術におけるスタッフの術中の被曝線量を 測定したので報告する。
〈使用機器〉O-arm : BI―700―00020(メドトロニック 社),半導体式電子ポケット線量計:PDM―112(アロカ株 式会社),プロテクター:MSA―25/鉛当量:0.25mmPb (株式会社マエダ),X 線防護衝立:H―22HKF/鉛当 量:1.0mmPb(クラレトレーディング株式会社)
〈方法〉整形外科の術中にO-arm を使用した3症例で, スタッフの被曝線量を測定した。半導体式電子ポケット線 量計を,整形外科医のプロテクターの内側と外側,放射線 技師のプロテクターの内側と外側,麻酔科医の前に立てた X 線防護衝立の内側と外側に装着して測定した。
〈撮影条件〉3D 撮影:120kV,25~32mA,100~128mAs
(初期設定値),透視:62~90kV,5.0~6.6mA(AEC), 撮影中心部位からの距離は整形外科医:1m,放射線技 師:2m,麻酔科医:2m とした。
〈結果〉被曝線量が高かったのは,症例1では整形外科医 のプロテクターの外側で27マイクロシーベルト,症例2で は麻酔科医のX 線防護衝立の外側で26マイクロシーベル ト,症例3では整形外科医のプロテクターの外側で14マイ クロシーベルトであった。
〈考察〉O-arm の使用頻度を月8回として計算すると, 年間の整形外科医の被曝線量は0.027×8×12=約2.6ミリ シーベルトとなる。許容される年間の職業被曝線量である 50ミリシーベルトの5.2%と低い値であった。

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© 2009 一般社団法人 日本農村医学会
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