日本農村医学会学術総会抄録集
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第58回日本農村医学会学術総会
セッションID: P1-C319
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目に見えにくい管理コスト改善を目指した医療材料管理システムの構築
辻 博幸
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抄録

〈緒言〉昨今,医療の高度化や医療安全対策などにより病
院支出における医療材料費が急激に増加している。そのた
めこの管理を怠ると病院の収益率低下に大きく影響する。
平成12年10月移転を機に院内在庫方式SPD を導入し,在
庫削減(定数管理化)を行ってきた。しかし,ここ数年管
理システムの老朽化や取扱の難しさから特定な担当者しか
扱えないという管理上の問題が生じていた。そこで今回,
安価な独自の新システムに変更し,これまで行ってきた定
数管理以外にも目に見えにくい管理コストの改善・整備を
行ったので報告する。
〈管理コストの改善・整備〉問い合わせや臨時発注などに
対応するため医療材料を検索し物品を特定することが難し
い。これを誰でもできるようにするためには物品検索機能
の充実・工夫・情報共有化が必要となる。そこで,物品マ
スターに独自のキーワード検索を設けたり,物品情報の項
を設けたりした。また,入力時にメッセージが表示される
機能で誰もが同じ対応ができるような仕組みを持たせ,問
い合わせの多い物品の価格・発注仕入履歴・定数カードの
発行状況を検索した画面でそのまま表示させる工夫もし
た。誰でも扱える管理システムとするため取扱を簡便化し
入力処理も単純化させることを考慮した。こうした機能改
善により検索能力の向上,発注・棚卸など時間的コストの
削減が行えた。また,電子カルテの入力補助・検索違い防
止の工夫や入力情報蓄積活用の改善も同時に行った。
〈結語〉医療材料のマネージメントは物の管理だけではな
く,情報や人の管理,教育が大切である。情報を利用・伝
達・共有化するのは人である。一時的なコスト削減でなく
継続的にこれを行うためには管理体制が整ってこそなしえ
るものと考えている。今回の医療材料管理システム変更に
よる改善・整備で効率的になった情報やデータを活用し精
度の高い分析やコスト削減に,今後も活用し日々改善に努
めたいと考えている。

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© 2009 一般社団法人 日本農村医学会
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