日本農村医学会学術総会抄録集
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第58回日本農村医学会学術総会
セッションID: P1-D405
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マンモグラフィ検診での偽陽性の原因について
中山 美保島田 友幸泉川 裕紀柴田 信雄佐々木 司郎石成 誠子林 雅人
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抄録

〈目的〉当院の検診マンモグラフィ(MMG)の偽陽性例
について検討をする。
〈対象と方法〉平成20年度に当院で3,400例の乳がん検診
を行った。その内,1次読影医師が要精検とし,当院で精
検をして異常なしとされた19例を対象とした。1次読影を
担当している医師1名と撮影技師1名が対象症例の検診時
MMG(40歳代2方向,50歳以上1方向),精検時MMG
(50歳以上CC MMG),検診時の読影用紙,精検結果用
紙の確認を行い偽陽性の原因を次の手順で検討した。
1)医師が対象症例の検診時MMG の再評価をする。対
象症例を読みすぎ(カテゴリーを厳しくつけすぎた),
精検はやむなしの2項目に分類する。
2)医師と技師が,精検はやむなしとなった症例の検討を
する。検診時と精検時のMMG,読影用紙,精検結果用
紙の確認を行う。対象症例を乳腺の構造上精検はやむな
し,撮影技師の注意・技術の改善で精検が不要になる可
能性があるの2項目に分類する。
3)技師が,精検が不要になる可能性がある症例のMMG
を確認し,撮影技術の改善点を検討する。
〈結果・考察〉対象19例中,医師がカテゴリーを厳しくつ
けすぎた症例は6例,受診者の乳腺構造上精検はやむなし
(前回検診でも要精検であった3症例も含む)は5例で
あった。8例が撮影技師の注意や技術の改善で精検が不要
になる可能性があることが示唆された。撮影技術に関する
反省点はポジショニング不良7例(乳腺後隙の描出不足1
例,乳腺と乳頭の重なり有1例,圧迫不足3例,乳腺の進
展不足4例,乳腺濃度の不足2例。※重複有)で,7例中
5例が乳腺の重なりが原因で出来たと思われる局所的非対
称性陰影で要精検になっていた。1例はコメントの不備で
要精検になっていた。
〈結論〉偽陽性を減らす為には,医師による読影力の研鑽
と撮影技師が高品質のMMG を安定して提供することが
必須である。技師はポジショニングの反省点を改善して,
撮影技術が原因で偽陽性になるような症例が皆無になるよ
うに努めていく必要がある。

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© 2009 一般社団法人 日本農村医学会
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