日本農村医学会学術総会抄録集
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第58回日本農村医学会学術総会
セッションID: P2-D402
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新人看護師の起こしやすいミスと安全教育の試み
~インシデント・アクシデント分析結果より~
戸谷 ゆかり三輪 幸利山本 直人
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キーワード: 医療安全, 教育, 新人看護師
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抄録

〈緒言〉平成20年度当院インシデント・アクシデント報告
結果内容より,看護師が直接関与した事例を集計し,配属
年数別頻度及び事象などの場面・内容を分析し,安全教育
について検討した。
〈結果〉平成20年度インシデント報告数は全体で2,417件
(特殊事例報告含む)で看護職からは1,844件(76.3%)
であった。そのうち看護師が直接関与した事例は996件で
配属年数別では1年未満が338件(33.9%)でそのうち新
人看護師が187件で半数を占めた。1~2年目が207件
(20.8%)と両群合わせ半数を占めた。配属年数別の年間
発生件数(図1)では,新人看護師が配属された4月よ
り,独り立ちする8月~9月をピークに発生し,1~2年
目は発生件数では若干減るが年間通じて新人に次いで発生
している。2年目以上は件数及び季節的変動はあまりな
かった。0~1年目で関与した事象内容では『処方・与
薬』が176件(52%)と圧倒的に多く,その場面において
は『末梢静脈点滴』と『内服』で約70%程あった。その内
容では「無投薬」「与薬時間間違い」「投与方法の間違い」
であり,1~2年目でも同様な傾向が見られた。
〈考察〉毎年4月には新人看護師が就職し,新人安全教育
研修ではミスが起こりやすいポイントを講義形式で伝える
だけの研修を中心であった。今回過去の事例を検討した結
果,「知識が不足」「緊張していた」「他の事に気を取られ
ていた」などの要因が大きく,やはり『経験不足』が感じ
られ,又経験はあるが勤務異動で配属が変わり,配属年数
1年未満においても同様な事象内容が繰り返し発生してい
る傾向が見られた。新人をサポートする先輩看護師も経験
が浅くサポートできていないのが現状であり,過去の事例
を共有する目的で事前にミスが起こりやすいポイントを押
さえた事例集を作成し,新人がいつどのような場面でミス
を起こしてしまうのか,事例から,先輩看護師が指導する
方法を試みた。

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© 2009 一般社団法人 日本農村医学会
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