日本農村医学会学術総会抄録集
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第58回日本農村医学会学術総会
セッションID: 14-05
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手術を受ける小児の看護
プレパレーションを取り入れた術前訪問を通して
横山 伸介
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キーワード: 小児, プレパレーション
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抄録

〈はじめに〉幼児が身体侵襲を伴う医療を受ける際には心
理的混乱が予測される。その悪影響を最小限とするため,
近年では成人とは異なった術前オリエンテーションの方法
として,プレパレーションを用いた看護介入の必要性が報
告されている。今回,アデノイド増殖症で入院し,手術を
受ける3歳の患児へ,人形を応用したプレパレーションを
用いた看護を行った。その中で小児の発達段階や母親との
関係を考慮して関わることの重要性を学び,自分の行った
看護の振り返りをここに報告する。
〈看護の実際〉術前訪問時,プレパレーションを用いたオ
リエンテーションにより,手術室入室~退室までの説明
と,手術室での装着物の説明を行った。術後訪問を行っ
た。
〈結果〉A 氏は手術の事を,治療しないといけない事,泣
くかもしれないと理解した。手術室入室後,母親と離れ泣
いていたが,モニター類装着を特別に嫌がったり,怖がる
様子はなかった。心電図電極については,興味を引き一時
的に泣き止むこともあった。術後,看護師訪室に対し怖が
る様子はなく,心理的混乱は見られなかった。
〈考察〉人形を用いた術前オリエンテーションは視覚的に
伝える効果だけでなく,アミニズムにより,A 氏のがんば
りに影響したのだと考える。しかし,3歳児が注意を持続
できるのは10~15分程度だといわれている為,術前オリエ
ンテーションを短時間で行う工夫ができれば更に良かった
と思う。環境については説明だけでなく,1度受け渡し室
を見学させる時間を設ければ良いと感じた。また分離不安
はあっても,きちんと母親と離れる事を伝える必要があっ
た。そして,親の不安を軽減させることは,患児の不安の
軽減につながることである。今回私の行った看護を振り返
り,プレパレーションを取り入れた術前訪問を,母親と一
緒に行うことは,患児の対処能力を高めるのには良い効果
を与えると感じた。今回の経験により,発達段階を考えた
関わりと親子双方をサポートしていく大切さを学んだ。

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© 2009 一般社団法人 日本農村医学会
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