日本農村医学会学術総会抄録集
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第59回日本農村医学会学術総会
セッションID: P1-D2-2
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厚生連DMAT研修が目指すもの
佐藤 栄一岡田 邦彦田渕 昭彦林 達彦廣田 幸次郎岩間 直萩原 一昭夏川 周介
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キーワード: 災害医療, DMAT, 連携
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抄録

【背景】阪神淡路大震災から15年。この間我が国の災害医療体制は著しい発展を遂げた。災害急性期の医療体制では、平成18年から研修が始まった災害派遣医療チーム(Disaster Medical Assistance Team ; DMAT)は特徴的である。研修修了者はこれまで4,339名を数える(平成22年3月現在)。そして現在、DMATを含む災害急性期の医療体制構築の施設間や地域間の格差は大きく、厚生連には災害医療に関する病院間のネットワークは存在していなかった。
【概要】平成22年1月30日31日に長野県佐久市に於いて厚生連DMAT研修を初めて開催した。この研修は、厚生連のDMATを軸に災害医療体制構築のための厚生連病院間のネットワーク作りが主目的であった。更には、_丸1_厚生連病院のDMAT隊員の技能維持向上と連携の構築、_丸2_災害医療体制に関係する厚生連病院の現状の把握、_丸3_広域自然災害発生時の厚生連病院の役割の検討、_丸4_厚生連災害対策マニュアルの検証と課題の抽出、_丸5_本研修の今後の在り方の検討、である。講師9名を迎え、11の厚生連のDMAT指定病院からスタッフを含め総勢80名が参加した。
【結果】研修内容は、DMATに関する最新事項やトリアージ、救援者ストレス、日赤DMATなど多岐に渡った。職種別研修や机上シミュレーションでは活発な議論も展開された。研修後のアンケートでは受講生の90%が研修を高く評価し、86.4%が厚生連災害医療研修は今後も必要と回答した。更に講師、受講生双方から次年度以降の開催が強く要望された。
【課題】研修の実効性や厚生連の災害医療対応方針の中の本研修の位置づけが不明確、全厚連とDMATと本研修の関係、受講者と講師の資格、財源の確保、など課題も多い。
【結論】受講生から高い評価を受けた一方で、課題も山積している。しかし、厚生連病院のDMAT隊員の技能維持向上と厚生連病院から始める地域の災害医療体制構築のための連携作りに今後も本研修は貢献出来る可能性がある。

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© 2010 一般社団法人 日本農村医学会
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