日本農村医学会学術総会抄録集
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第59回日本農村医学会学術総会
セッションID: P1-D2-3
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救命救急センターにおけるトリアージシステム
~緊急性のある独歩来院患者の円滑な診療開始のために~
吉田 栄里
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抄録

<はじめに>
24時間体制で救急医療を展開している施設では、独歩来院患者が多くトリアージを行って緊急度、重症度の高い患者を選別し、診察順を調節しなければならない状況にある。しかし、当院では確立したトリアージ担当看護師の設置はない。また、病院移転後より紙カルテから電子カルテに変更したことで、トリアージで得られた情報を入力することに多くの時間を費やしていた。さらに、緊急を要する患者が診察順を待っていた事実もあり、これでは質の高い医療の提供ができないと考え、トリアージシステムの見直しを行った結果、効率よくトリアージが行われるようになってきたので報告する。
<活動期間>
平成20年9月から現在も活動中
<改善方法>
救命救急センターで勤務する医療スタッフにアンケートを実施し、問題点を抽出、改善点を見出し改良した。
<活動結果>
緊急度が高い病態が予測される症状で来院した患者に、実際にトリアージが行われた症例は、独歩来院患者全体の45%で、改善前と比較すると30%の上昇がみられた。
<改善点>
1)トリアージに対する不安の軽減と知識の向上のために勉強会を開催した。また、症状別フローチャートを作成し、トリアージ能力の統一を図った。
2)受付に緊急度が高いと予測される症状を一覧表にして掲示した。
3)トリアージ担当看護師を分担し、PHSを携帯した。
4)診察申込書を活用した。
<考察>
多職種に対してアンケート聴取を行ったことで、視点が広がり多くの問題点を抽出できた。特に、トリアージ担当看護師を設置し、PHS を持ったことで、責任感がうまれ、事務員との連携が強まったことが、トリアージ率アップにつながったと考える。
<結語>
来院したすべての患者にトリアージを行うことは、患者だけでなく、家族にとっても、不安の軽減となる。よって、質の高い救急医療を提供するために、問題点の抽出と改善を繰り返し、より良いトリアージシステムを作り上げたい。

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© 2010 一般社団法人 日本農村医学会
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