日本農村医学会学術総会抄録集
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第59回日本農村医学会学術総会
セッションID: W1-4
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脳卒中地域連携パスによる急性期病院から回復期リハビリテーション病院の転帰までの縦断的検討
山本 泰三須藤 聡井上 桂輔新谷 周三塚田 昌明
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抄録

はじめに
当院では近郊の17病院と広域千葉茨城脳卒中連携協議会を創設し、脳卒中連携パスを導入した。当院から回復期リハビリテーション病院を経由した患者の基礎データや日常生活活動の変化を縦断的に検討する。
対象および方法
平成22年2月までに脳卒中連携パスが当院へ返却された88名を対象とした。Barthel Index(以下、BI)、在院日数、回復期リハ病院の転帰を調査した。BIは当院入院時(以下、入院時)、当院転院時(以下、転院時)、回復期リハ病院退院時(以下、回復期退院時)を比較し、在院日数は、当院入院期間と回復期リハ病院入院期間と全入院期間を比較した。回復期退院時の転帰が自宅となる傾向を検討するために、死亡と当院への転院を除き、自宅退院となった自宅群と療養型病院や介護老人保健施設へ転院した非自宅群との比較を行った。統計処理は各時期の自宅群と非自宅群の比較をWelchのt検定(p<0.05)にて行った。
結果
回復期退院時の転帰は、自宅退院が55名、療養型病院が8名、介護老人保健施設が9名、当院への転院が14名、死亡が2名であった。回復期退院時の自宅群の年齢は69.9±9.4歳で、非自宅群は17名で75.8±11.1歳であった。自宅群と非自宅群のBIは、入院時が20.9±24.5と8.5±18.8、転院時が60.8±29.5と23.5±24.4、回復期退院時が89.0±17.9と37.9±30.5であった。各時期における自宅群と非自宅のBIの差が有意であった。自宅群と非自宅群の当院在院日数は41.1±12.4日と46.9±13.4日で、回復期リハ病院在院日数は97.4±46.9日と157.5±55.3日であった。回復期リハ病院入院期間と全入院期間で自宅群と非自宅群の入院期間の差が有意であった。
考察
回復期退院時の転帰の自宅群は非自宅群より入院時、転院時、回復期退院時ともにBIが高得点であった。BIの細項目も検討する。急性期病院の在院日数はBIの程度に関係なく、回復期リハ病院在院日数は非自宅群が長くBIが低かった。脳卒中連携パスの導入により縦断的な調査が可能となったので、さらに症例数を増加させて、より早期からの方向性を示唆できるように検討したい。

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© 2010 一般社団法人 日本農村医学会
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