日本農村医学会学術総会抄録集
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第59回日本農村医学会学術総会
セッションID: W1-5
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障害福祉サービス事業所と農業法人の連携による職業リハヒ゛リテーションの試み
-島根県I市における‘施設外就労’の事例から-
片山 千栄山下 仁唐崎 卓也石田 憲治
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抄録

【背景と目的】病気や障がいの有無に拘らず、住み慣れた地域での自立生活の継続には就労が不可欠であり、就労機会の少ない農村部では農業への期待がある。しかし農業分野での障がい者の就労受入れの広がりは緩やかで、背景には関係者間の相互理解の不足などが考えられる。一方、厚生労働省の‘施設外就労’支援は農家との連携も想定しているが、農業分野での報告事例はほとんどみられない。そこで、農業分野での障がい者就労受入れの推進を視野に、医療福祉関係者と農業関係者の連携への示唆を得ることを目的に、農業法人による‘施設外就労’の受入れ事例について検討した。
【方法】2009年9月より島根県I市の障害福祉サービス事業所(就労継続支援B型)A園利用者の農作業訓練を、農業法人B農場(施設野菜や果樹を生産)で開始した。A園・B農場担当者への聞き取りや観察等を行い、接点と相互理解に注目して考察した。
【結果と考察】A園とB農場の接触の契機は、B農場の経営する直売所へのA園の授産活動による製品の出品にあった。またB農場には看護職経験者が在籍し、就労受入れに対する農場職員への意識啓発などソフト・ハード両面での働きやすい環境づくりに、キャリアを活かして寄与していた。両者は月例会をもち課題の共有や問題点の解消に務めると共に、A園側は農作業の、B農場側は障がい者受入れの経験をそれぞれ蓄積した。本研究を通して、地域での関係者の接点となる場の設定の必要性や、医療福祉関係者による農業者側への関わりの意義などが示唆された。
※本報告は、当研究所が代表実施機関となり共同実施機関とともに実施した、農林水産省経営局の補助事業「平成21年度障害者アグリ雇用推進事業」の成果の一部である。

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© 2010 一般社団法人 日本農村医学会
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