日本農村医学会学術総会抄録集
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第59回日本農村医学会学術総会
セッションID: P2-A4-2
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自然上部尿路外溢流の3例
岡野 学菊地 美奈河田 幸道
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抄録

自然上部尿路外溢流を最近3例経験したので報告する。 症例1)81歳、男性。主訴:右側腹部痛。既往歴:胃潰瘍手術、脳梗塞 現病歴:平成21年7月24日より右尿管下端結石として近医へ通院していたが31日のCT検査にて腎盂外に尿の溢流が認められ当院へ紹介された。入院時には右側腹部痛を訴え発熱もあり、血液検査で白血球増加、CRP上昇を認めたため抗生剤の投与を行うとともに8月3日に逆行性腎盂造影を行なったところ結石は見られないものの腎盂からの尿流出は依然としてあり尿管ステントを留置した。 症例2)84歳、女性。主訴:左側腹部痛。既往歴:心不全、痔 現病歴:平成21年12月6日に左側腹部痛を訴え当院内科へ入院したが、CT検査にて左水腎症と腎盂外に尿の溢流が認められたため12月8日当科へ紹介された。逆行性腎盂造影を行なったところ上部尿管に不整な狭窄部位があり尿の尿路外流出もみられたため尿管ステントを留置した。また分腎尿細胞診でclass_V_であり、尿管鏡にて施行した生検で尿管癌と診断されたため、平成22年2月2日に左腎尿管摘出術を施行した。 症例3)40歳、男性。主訴:右腰背部痛。既往歴:特記すべきものなし 現病歴:平成22年1月12日に突然の右腰背部痛があり当科を受診した。CT検査にて右腎盂の拡張と尿路外に尿の溢流が認められたため入院となった。逆行性腎盂造影を行なったところ腎盂尿管移行部狭窄があり狭窄部から尿の尿路外流出がみられたため、尿管ステントを留置した。  自然上部尿路外溢流の原因としては尿路結石が最も多いものの尿路腫瘍や尿路閉塞疾患に合併する場合もあり注意を要する。治療法としては良性の場合は保存的治療で治癒する場合もあるが積極的に内圧を下げるため尿管ステントの挿入や、経皮的腎瘻造設が行われることが多い、悪性の場合は摘出術が施行される場合がほとんどである。

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© 2010 一般社団法人 日本農村医学会
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