日本農村医学会学術総会抄録集
Online ISSN : 1880-1730
Print ISSN : 1880-1749
ISSN-L : 1880-1730
第59回日本農村医学会学術総会
セッションID: P2-G2-6
会議情報

業務改善により可能となった術前・術後訪問
中嶋 美枝子齋藤 美佳子米山 厚子武内 夏江
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

当院は病床数178床、秋田県北部に位置する中核病院で、当手術室は3室で年間平均700~800件の手術を行っている。しかし麻酔科常勤医師がいない事や、勤務者要因の状況から手術室スタッフ(看護師長、副師長を含む)6名は手術準備の1名を残し、午前は外来勤務、午後は手術室勤務を行っていた。  術前・術後訪問は手術看護にとって重要とされ、すでに多くの病院で実施されており、手術室単独では不可能なことから、どのような業務改善することで可能となるのか、手術室業務、中央材料室業務、各科外来業務の課題抽出を行い、段階的に改善に取り組み、術前・術後訪問が可能となったので報告する。  研究期間は平成19年7月~21年12月、内容は1、各部署の課題抽出2、業務改善内容の提案と実施3、評価である。  手術室における課題は1、手術室看護基準・運営基準の整備がなされていない2、看護スタッフの未熟な技術3、各種手術手順の不備4、外来進捗状況に左右されたスタッフ確保困難5、中央材料室業務との併用による繁雑な業務である。  外来では1、各科外来終了時間のばらつきにより、一人外来では昼食がとれていなかった2、長年同外来に勤務し他科への手伝いに躊躇していた3、各科外来のマニュアルは様式の違いや、実用性に乏しいものがあった。  以上の現状から次の業務改善に取り組んだ。 1、 平成19年7月、手術室運営委員会の設置により運営と管理の責任を明確にし、課題の検討2、手術室看護基準・手順の作成3、手術器械出し、展開手順をフォーマット(スタッフ作成)に基づき作成4、各科外来看護基準をフォーマット(スタッフ作成)に基づき作成5、新病院開業に向け、外来看護師、手術室看護師、中央材料室看護師による固定チームナ―シングを導入6、外来、手術室協働でのOJTの実施7、外来、病棟、手術室ガーゼカストの廃止8、手術室業務と中央材料室業務の仕分け9、衛生材料ディスポ化の準備と暫定的実施10、平成20年10月術前・術後訪問用紙の作成。 以上の取り組みを実施した結果、全身麻酔患者の手術において、術前・術後訪問を外来スタッフとの協働で、平成20年11月~21年9月まで100件実施することができた。術後訪問後のケースカンファレンスにおいて評価したところ、患者からの評価は良好で、さらなる業務改善につながった。さらにこれまで手術麻酔記録は外科と外来以外病棟スタッフで行っていたが、固定チームナーシングが機能することで8割を外来及び手術室スタッフで対応可能となった。  3年にわたり段階的に業務改善に取り組み目的を達成できたが、各科医師の一部からは理解を得られなかったり、勤務交代などで固定チームナーシングのチーム再編成も幾度か行う状況で、スタッフのストレスについても今後さらなる検討を重ね、手術看護の向上に努めて行きたい。

著者関連情報
© 2010 一般社団法人 日本農村医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top