日本農村医学会学術総会抄録集
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第60回日本農村医学会学術総会
セッションID: 1D-4
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乳腺穿刺吸引細胞診の検討
川井 麻衣子福島 幸司白井 正広邑楽 稔今井 厚風間 暁男岡本 英明篠 美和河野 悟高野 靖悟
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抄録

【はじめに】乳癌罹患率の増加や検診の普及、マンモグラフィー等の画像診断精度の向上により、乳腺穿刺吸引細胞診件数は年々増加している。針生検と比較しても低侵襲性・低コストであるため反復して検査することができ、病変の推定診断や経過観察の手段として有意義な検査である。術前に化学療法を施行する場合もあり、迅速かつ正確な診断が求められているが、乳頭状病変や細胞採取量が少ない検体では診断に苦慮することも多い。今回我々は、乳腺穿刺吸引細胞診において鑑別困難と判定した細胞像と組織像を比較し、良悪性の診断に重要と考えられる細胞所見を検討したので報告する。 【対象と方法】当院において2007年9月から2011年5月の間に提出された乳腺穿刺吸引細胞診875件を判定別に集計し、鑑別困難症例について細胞所見の検討を行った。 【結果】判定別の内訳は、検体不適正334件、正常あるいは良性375件、鑑別困難70件、悪性の疑い18件、悪性86件であった。鑑別困難と診断した細胞所見としては、(1)細胞変性や壊死が強いもの、(2)異型細胞が少数、(3)細胞異型が弱い、(4)細胞量が豊富で増殖性病変が疑われるが、筋上皮細胞との二相性を認めるなどがあった。 【まとめ】乳腺穿刺吸引細胞診875件中、鑑別困難と判定した症例は70件(8.0%)であった。また、検体不適正334件を除いた541件中では12.9%であった。組織診断で確定した55例の内訳は、良性25例、悪性29例であった。鑑別困難と診断する場合、できるだけ臨床側に鑑別困難となった理由や再検査の必要性などのコメントを付記することが重要である。さらに、診断精度を上げるためには質の良い標本作製が求められ、細胞を採取する臨床医との連携も重要であると考える。

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© 2011 一般社団法人 日本農村医学会
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