日本農村医学会学術総会抄録集
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第60回日本農村医学会学術総会
セッションID: 1D-5
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当院における過去5年間の乳腺穿刺吸引細胞診の成績
田村 裕恵石井 貴裕島 千尋塩崎 正樹宮川 正明及川 賢輔櫻井 宏治赤羽 弘充小松 良一常山 聡
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キーワード: 細胞診, 乳腺
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抄録

乳腺病変に対する細胞診の重要性は高く、臨床医の要望に応えるためには、常に細胞診と組織診断結果の対比、不一致例に対する分析が必要である。
今回われわれは、当院における過去5年間の乳腺穿刺吸引細胞診に対し、組織診断を確認し、対比を中心に検討したので報告する。
対象は2007年1月より2011年5月までの、当院外科における乳腺穿刺吸引細胞診施行症例のうち、組織診断確定症例351例とした。細胞判定は検体不適性(判定不能)、正常あるいは良性(クラス_I_、_II_、_II_r)、鑑別困難(クラス_III_)、悪性の疑い(クラス_III_b、_IV_)、悪性(クラス_V_)に分類し、その組織診断を確認、再検討した。同一症例で、組織診ないし細胞診検査が数回にわたり施行されている場合には、高い細胞及び組織判定を採用した。
生検組織診ないし、手術材料において組織診断が確定している症例は351例で、そのうち検体不適性24例(6.9%)、正常あるいは良性84例(23.9%)、鑑別困難23例(6.6%)、悪性疑い27例(7.6%)、悪性193例(55.0%)であった。
細胞診で検体不適正と判定した症例24例中3例(全体の0.9%)が悪性であったが、そのうちの一例は同時に針生検が施行され、悪性が確定していた。正常あるいは良性で、組織診断と不一致であった症例は86例中15例(全体の4.3%)であり、硬癌、小葉癌、上皮内癌(DCIS)などが多かった。悪性疑いとした27例中2例(全体の0.6%)が良性病変で、乳頭腫、線維腺腫であった。悪性と判定した193例中、1例のみ同時に施行された生検組織診において悪性所見を認めなかったが、エコーなどの画像所見などで悪性が疑われ、地元他院での加療を希望した症例であった。その他の192例については全て組織診においても悪性であった。

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© 2011 一般社団法人 日本農村医学会
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