日本農村医学会学術総会抄録集
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第60回日本農村医学会学術総会
セッションID: 2B-2
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顎関節MRIにおける撮像法の検討
近藤 努田中 真彦芝田 弘野口 和秀齋藤 知之瀧澤 勉秋月 章
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抄録

【目的】顎関節MRIにおいて,現行の撮像法であるT1強調画像(T1),T2強調画像(T2)では関節円板の描出が不良な症例,関節貯留液の有無の判別が困難な症例が散見する.そこで今回閉口位にて新たにプロトン密度強調画像(PD),T1脂肪抑制画像(T1fs),T2強調画像(T2)を追加撮像し,検討を行った.【対象】2010年6月から8月までの3ヶ月間に顎関節症の診断によりMRI検査を行った16例32関節を対象とした(男性5名,女性11名).【方法】装置はSiemens社製1.5テスラAvantoMRIを使用し,小関節用円形コイルを両側顎関節の位置に固定し撮像を行った.関節円板とその直下に隣接する外側翼突筋,関節貯留液に関心領域(ROI)を設定し,信号値を測定した.関節円板の描出能について,関節円板と外側翼突筋の信号値の比を求め,平均値を算出した.関節貯留液の描出能について,関節貯留液の信号値を測定し,平均値を算出した.【結果】関節円板の描出能について,PDの信号値の比が有意に高くなった(図1).関節貯留液の描出能について,PD,T2の信号値が有意に高くなった(図2).【考察】PDでは,関節円板などの軟部は低信号であり,液体はより高信号になるため,コントラストが高くなる.よって,関節円板,関節貯留液の両方で描出能がよくなったものと考えられた.T2は,PDより関節貯留液の信号値は落ちたが,現行のT2と比べ,関節貯留液の描出に有用であると考えられた.T1fsは関節円板周囲の脂肪の信号が落ちることで,関節円板と周囲のコントラストがつかなくなったため,関節円板の描出が不明瞭であったものと考えられた.今回の検討より,顎関節MRIにおいて,現行のT2の代わりに,プロトンを撮像することで,より関節円板,関節貯留液が明瞭に描出され,顎関節疾患の診断に有用な画像を提供できると考えられた.

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© 2011 一般社団法人 日本農村医学会
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