日本農村医学会学術総会抄録集
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第60回日本農村医学会学術総会
セッションID: 2C-15
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民生児童委員との地域同行訪問を通し地域支援のあり方を考える
所 加代子大久保 桂子鈴木 昇
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キーワード: 地域振興, 訪問活動
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抄録

はじめに】高齢者が住みなれた地域で安心して生活を送るための支援として、ニーズを明確化することは重要であり、ニーズの把握は地域に関する基本情報を把握することが必要である1)。そこで私たち在宅介護支援センターは、平成19年度から高齢者宅を民生児童委員と同行訪問する活動を行なってきた。今回3年間の訪問活動を通し地域支援のあり方を検討したのでここに報告する。 【研究対象および方法】A市南部地域の西部に位置する人口1338人、高齢化率38.0%の中山間地の65歳以上の高齢者宅を、平成19年11月から平成22年10月の間に民生児童委員と同行訪問した。訪問時の記録から感想などを抽出しKJ法でカテゴリー化した。民生児童委員の感想を非構成的面接調査でまとめた。研究に当たり研究目的、プライバシーの保持について対象者に説明し同意を得た。 【結果】初回訪問の記録51件から、「専門的知識から教育、情報提供を求める」「地域の実情の理解を求める」「一時的な孤独感の解消を喜ぶ」「訪問に対する迷惑感」などのカテゴリーが抽出された。複数回訪問の記録25件から、「専門的知識から教育、情報提供を求める」「生活に対する共感を求める」「地域の情報」「つながっている安心感」などのカテゴリーが抽出された。民生児童委員からは、看護師が同行することで対象者が身体的な問題・不安などを表出しやすかったなどの感想を得た。 【考察】訪問を継続する中でネットワーク形成が可能となった。民生児童委員とは専門性を生かしながら信頼関係をもって今後も訪問活動を継続したいと考える。 【結論】_丸1_地域を知り人間性を高め知識を豊富にすることで、地域に望まれる看護が提供できる。_丸2_専門職としてニーズを把握することが重要であり、さらに地域における実践を継続することでネットワーク形成がされる。_丸3_地域支援とは直接的な援助行為のみでなく、つながり続けることである。 【引用文献】1)市川正美ほか 地域福祉の理論と方法 ミネルヴァ書房 P161 2010

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© 2011 一般社団法人 日本農村医学会
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