日本農村医学会学術総会抄録集
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第60回日本農村医学会学術総会
セッションID: 2D-15
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中濃厚生病院における立体前立腺生検の検討
宇野 裕巳斎藤 昭弘河田 幸道森 良雄
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キーワード: 前立腺癌, 前立腺生検
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抄録

【目的】PSA値異常または直腸診(DRE)異常の際、確定診断のため超音波ガイド下前立腺針生検が施行される。生検経路には経直腸式(TR)と経会陰式(TP)があり、通常どちらかの経路が選択されるが両者ともsampling困難な領域がある。Kawakamiらは2006年にTPとTRを組み合わせた立体生検による癌検出率がいずれの単一経路より有意に優れていることを報告した。当施設では従来TR生検を施行してきたが、2010年12月より立体生検を取り入れたのでその成績を報告する。 【対象・方法】対象はPSA値>4 ng/mL又はDRE異常のため2010年12月~2011年5月の間に立体生検を行った37例(初回生検16例、再生検21例)。年齢(中央値)68歳 、PSA値(中央値)8.67ng/mL、PSA値 4.01~10.0 ng/mLは20例(54%)だった。生検方法はサドルブロック下、超音波ガイド下にTP10~14本、TR8本、計18~22本採取した。生検前MRIで異常部位を認めた際適宜追加生検を行った。 【成績】(1)癌陽性率は全症例で43.2%(16/37)、PSA値4.01~10.0 ng/mLで45%(9/20)、10.01 ng/mL以上で40%(6/15)だった。(2)初回生検における癌陽性率は25%(4/16)、再生検では57.1%(12/21)だった。(3)癌症例16例の生検陽性領域は、TPのみ陽性は9例、TRのみ陽性は1例、TP・TR共に陽性は6例だった。(4)臨床的重要癌の定義を陽性本数2本以下、グリソンスコア6以下とすると、16例中11例が臨床的重要癌で、残りの5例はactive surveillance可能な症例だった。 【結論】立体前立腺生検の癌陽性率は特に再生検症例でTPまたはTR単一経路の場合と比較して高い。初回生検が陰性でもその半数以上は癌陽性と考え、立体生検などの生検方法を検討すべきである。

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© 2011 一般社団法人 日本農村医学会
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