日本農村医学会学術総会抄録集
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第60回日本農村医学会学術総会
セッションID: 2H-10
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便秘がある患者に対する便秘改善の援助
~乳糖果糖オリゴ糖を使用して~
赤井 理明生亀 恵子弓田 ミユキ
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抄録

当科へ入院中の患者の9割を超える方が何らかの下剤を使用しているが、それでも排便困難があり、追加で下剤の服用や、その他の排便の処置をしている。便秘への対応には、下剤の使用、運動等があるが、どれもその問題点が報告されている。下剤では、長期服用によって神経障害が起こりさらなる便秘の原因になる可能性があったり、下剤を使用しての強制的な排便の場合、腹痛や排便の刺激で粘膜組織が障害を受けるなどの報告もある。運動等は、認知症高齢者の場合それを行う事自体難しい。一方で、乳糖オリゴ糖を使用すると、腸内環境を整えることで安全に便秘症が改善するのではないかと考えられる。そのため、本研究では、乳糖オリゴ糖の使用により、便秘の改善がみられるのかを検証する。 研究デザイン 関連検証研究 倫理的配慮  書面にて倫理的配慮(研究目的以外に使用しない、個人が特定できないようにする)について説明し、研究への参加同意書を記入頂いた。 方法 12名を対象にオリゴ糖を一定期間、一定量、決められた時間に服用してもらい、服用前後10日間の比較で排便の回数、下剤の量、排便のための追加処置の回数に変化が見られないかを検証する。統計分析は、ウイルコクスンの小標本の検定(両側検定)を用いた。 結果 1. 服用前後における排便回数は5%水準で有意であった(t=7,下側=13,上側=65,p<.05 ) 2・服用前後における下剤の量の差に有意差はなかった(t=13,下側=10,上側=56,n.s.) 考察 オリゴ糖を使用することで排便の回数を増やすことはできる。しかし、下剤の使用量の減量や排便のための処置の回数に有意差が出るほどの効果は見られなかった。

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© 2011 一般社団法人 日本農村医学会
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