日本農村医学会学術総会抄録集
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第60回日本農村医学会学術総会
セッションID: 1J-B-13
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溶血遠心分離法による血液培養の有用性について
桂川 晃一波多野 正和西部 亮三森 良雄田中 孜
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抄録

【はじめに】当院で日常業務として行っている血液培養について、(1)溶血遠心分離後の沈渣を培養する方法(以下溶血遠心分離法)(2)自動機器とボトルによる方法(以下自動機法)の2法の成績を検討した。 【方法】(1)溶血遠心分離法:血液前処理剤ISOLATOR(関東化学)を用い能書に従い血液10ml採取し溶血後遠心処理、沈渣1mlの内0.1mlをチョコレートII寒天培地(日本BD)に、残量0.9mlをヘモリンパフォーマンスアナエロビー嫌気用ボトル(シスメックス・ビオメリュー)に接種した。チョコレートII寒天培地は5%炭酸ガス培養、ボトルは振盪機にて共に35℃で培養した。尚この方法は技師が勤務する平日に限定して行った。(2)自動機法:自動血液培養装置BacT/Alert3D(シスメックス・ビオメリュー)、成人にはSA及びSN培養ボトル、小児にはPF培養ボトルを使用、休日・夜勤帯に患者血液を接種されたボトルを当直技師もしくは看護師が自動機にセットし運用した。 【検討対象】2004年度から2010年度まで。溶血遠心分離法で2549件、自動機法で2773件の計5322件。 【結果】7年間の平均陽性率は、溶血遠心分離法が19.5%、自動機法が15.2%であった。分離される菌種に大きな差は認められなかったが、溶血遠心分離法は菌種が多彩で特に酵母においていわゆるNon-albicansの発育が早い傾向であった。 【考察】抗菌薬や抗体・白血球など細菌の発育に拮抗する物質を排除できる溶血遠心分離法が有用であった。血液培養はもともと陽性率の低い検査技術であり、2セット法でも15%前後と報告する施設が多い。溶血遠心分離法も自動機法より手間ではあるが少しでも検出率を上げる方法のひとつと考えられ、検査コストは2セット法とほぼ同額であり、経済的な面でも溶血遠心分離法も良いのではないかと思われる。学会当日は、陽転までの日数や菌種について提示し批評を請いたいと考えている。 【連絡先】0575-22-2211内1690 saikin@chuno.gfkosei.or.jp

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© 2011 一般社団法人 日本農村医学会
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