【背景】
2010年7月施行の新しい糖尿病診断基準では、HbA1cは診断フローの第一段階に用いられ、臨床におけるHbA1cの重要性がより高まっている。
当院では従来HPLC法にてHbA1cの測定を行ってきたが、約200検体/日の処理が必要なため、健診・人間ドックでは結果報告に時間を要していた。
検査の効率化のため、血球自動前処理機能を有したBM9130機と酵素法HbA1c測定試薬を導入し、同機に生化学項目も集約したいと考え今回検討した。
【対象及び方法】
測定結果の表記:全てJDS%
使用試薬:ノルディア N HbA1c(積水メディカル)及びルーチン使用の各種生化学試薬
分析装置:自動分析装置「JCA-BM9130」(日本電子)
対照法:「ADAMS A1c HA-8160」(HPLC法、アークレイ)
【検討項目及び結果】
同時再現性:2水準の専用コントロール(HbA1c:4.8%、9.5%)でCV 0.85%、0.24%。
希釈直線性:Hb濃度 81.1~348.0μmol/L、A1c濃度 4.5~37.1μmol/Lまで良好。
HPLCとの相関:y=1.00x-0.23(r=0.991)
クロスコンタミ試験:HbA1cを含む41項目につきセルコンタミ、プローブコンタミ試験を実施。酵素法HbA1cが影響を与える/受ける項目は認められず。
【考察】
ノルディア N HbA1cの基本性能は良好。
汎用装置へ健診項目を集約するには、クロスコンタミがないことが、必須条件であったが、酵素法は、他項目に全く影響を与えないことが確認できた。
【まとめ】
HbA1c測定をHPLCから酵素法に変更し、BM9130型自動分析装置に生化学項目も集約することで、健診・人間ドックにおける検査の効率化が図れた。
ノルディア N HbA1cはHPLCとの相関性、正確性も良好であったため、健診・人間ドックのみならず、日常検査にも有用であると思われた。