抄録
本研究では、主に炭素と水素と酸素からなる合成高分子や天然高分子材料の非破壊計測に関する基礎研究の一助とするため、二重エネルギーX線吸収法の基準物質としての炭素材料の密度と輝度値の線形性を確認したのち、各種材料の輝度値から炭素当量密度を導出するための関係式を決定した。各種材料の炭素当量密度のX線ビーム依存性から、当該材料に占める酸素の質量比率を求めることができるかどうかについて検討した。各種プラスチック材料については酸素の質量百分率は炭素当量密度比と線形の関係にあること、この原理が各種プラスチック材料中の酸素の質量百分率の測定に応用可能であることが示されたが、木材については同様の方法で酸素の質量百分率を測定することは困難であることが分かった。その原因として、木材が炭素と水素と酸素の3種の元素からなるという仮定に問題があったことが考えられた。