日本農芸化学会誌
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高粱蛋白の榮養に關する研究
前田 司郎東 恒人松岡 等
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1938 年 14 巻 10 号 p. 1248-1256

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抄録
1. 酒精可溶性高梁蛋白を調製し,之を蛋白源として白鼠を飼育した處,全然生長せず衰弱するに至る.
2. 酒精可溶性高梁蛋白に,シスチン,トリプトプアン,ヂアミノ酸を添加しても無效であるが更に魚肉オキシアミノ酪酸を添加すれば,立派な蛋白源となる.
3. 精白高梁を唯一の蛋白源として試験しても動物をして生長せしめる事は全然出來ない.
4. 精白高梁に,シスチン,トリプトフアン,ヂアミノ酸を補つた場合,何れも無效である.
5. 精白高梁に,シスチン,トリプトフアン,ヂアミノ酸,オキシアミノ酪酸を同時に揃へて添加すれば,優秀な蛋白源となる.
6. 高梁蛋白に,ヘモグロビン,シスチンを添加して製した蛋白源(オキシアミノ酪酸のみ缺乏)では動物は生長しないが,高梁蛋白に魚肉蛋白を混じて製した蛋白源の飼料では立派に生長する.
此結果は,高梁蛋白が,シスチン,トリプrプアン,ヂアミノ酸以外に更にオキシアミノ酪酸をも缺いて居る事實の證明となる.
終に臨み,本研究に對し御懇篤な御指導と御鞭撻とを辱うした恩師鈴木梅太郎先生に謹んで感謝の意を捧げる.
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© 公益社団法人 日本農芸化学会
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