日本農芸化学会誌
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イラク産棗椰子より酒精製造に關する研究
和田 忠明
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1939 年 15 巻 12 号 p. 1193-1200

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抄録

イラク産棗椰子果實を試料とし酒精醗酵の試驗を行つた.
1. 試料は果肉部86.58%,種核13.42%の組成を有し一般成分分析の結果,果肉部は主として炭水化物よりなるを知つた.
2. 果肉より水を以て糖分を浸出するには40°が最適温度なるを知つた.之により果肉に對し65%の糖分を浸出し得る.
3. Rasse II, Rasse XII, Saccharomyces ellipsoideusの三種酵母の内Rasse XIIが他の二者より稍高き醗酵率を示したが都合に依り,以後の試驗にはRasse IIを使用した.
4. 浸出液の醗酵に及ぼす硫安添加の影響は初期の醗酵速度を著しく促進するが醗酵率を寧ろ低下する.
5. 第二燐酸鹽添加は醗酵速度には何等の影響も與へないが醗酵率を幾分向上する樣である.
6. 被醗酵液の糖濃度が15%前後の時最高の醗酵率を示した.
7. 果肉浸出液を濾過せずその儘醗酵せしめる時は濾過液の醗酵より遙に低い醗酵率を示した.
8. 實驗結果より計算すれば原料100瓩より31.18Lの純酒精が得られる.

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