日本農芸化学会誌
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酒精原料甘藷の成分及醗酵に及ぼす旋肥の影響(第2報)
杉崎 正作
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1939 年 15 巻 12 号 p. 1201-1208

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抄録

1. 第一報では完全肥料區の甘藷の澱粉價は不完全肥料區のものより稍大きいと報じたが本報では肥料區による甘藷の澱粉含有量の差は殆ど認められなかつた.
1. その池の一般成分に就ても肥料區に依る一般的傾向は殆ど認められないが加里肥料區のみを比較してみると,窒素の含有量は加里の増施につれて正確に漸減してゐる.之は第一報の結果とよく一致した.澱粉原料としては窒素含量の少ない程精製が容易であるから加里肥料は甘藷を澱粉原料としてみる場合一つの良い條件を與へるやうである.
1. 第一報に於て蒸煮に依る糖分の生成は壓力に支配され,糊精は酸に支配されるやうだと述べたが,本報では糖分の生成も糊精の生成も壓力に支配され,アミロ法程度の酸には影響されないやうである.
1. 糖化試驗も一般成分と同樣に肥料區による一定の傾向は殆ど認められなかつたが,酸糖化歩合の最高値を示す肥料區は兩品種共加里中量區のものであつた.
1. 醗酵試驗はアミロ法,ヂアスターゼ,酸糖化の三つの場合に就て行つたのであるが,醗酵歩合の最高値を示す肥料區は概して加里少中多區にあつた.而て醗酵歩合は加里の増施につれて漸増する傾向を示してゐた.アミロ法に依る醗酵歩合は菌體の重量と大體一致した.
1. 酒精收量の3平均値(アミロ法,ヂアスターゼ,酸)を基本として各肥料區に於ける酒精收量を比較すれば次表の如くである.

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