日本農芸化学会誌
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リゾープス屬の酸醗酵に關する研究(第3報)
坂口 謹一郎朝井 勇宣棟方 博久
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1942 年 18 巻 8 号 p. 793-798

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抄録
1) フマール酸生産種(Rh. G. 34),乳酸生産種(Rh. G. 36)及び中間種(Rh. No. 7)を用ひ,培養基の各種水素イオン濃度に於ける葡萄糖からの生産物の量的關係を檢した.
2) 生理的條件に於て乳酸を生産する種類即ち乳酸生産種及び中間種は培養基のpH價の増大と共にフマール酸量:乳酸量の比を増し,乳酸のみを生産する種類(乳酸生産種)でも, pH=7を超えればフマール酸を伴つて生産する様になる.
3) フマール酸のみを生産する種類にあつても,上記の比は培養基の水素イオン濃度によつて影響され,中性乃至微アルカリ性に於て最低點が認められる.
4) 不揮發性酸,即ちフマール酸及び乳酸の生産の最適水素イオン濃度はpH=7の附近にある.
5) 揮發性酸の生産はpH=7附近から著しくなり, pH價と伴つて増加する.この事實は第2報の要旨に述べた様な分解方法の増強,又は中間生成物としての揮發酸の捕獲による集積の何れかの原因によることを意味すべきものとして興味が深い.
終に臨み高橋偵造先生並びに本實驗の一部を分擔された木下祝郎農學士に深厚な謝意を表する.
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