日本農芸化学会誌
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酸化細菌に関する研究
(第11報) Gluconoacetobacter cerinusによるにα-ケトグルタール酸及び焦性葡萄酸の生成
朝井 勇宣杉崎 善治郎相田 浩
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1955 年 29 巻 4 号 p. 300-304

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抄録

振盪培養によつてGluconoacetobacter cerinusのグルコース酸化代謝生産物を追究し,従来知られていたgluconic acid, 2-ketogluconic acidの他に新たにα-ketoglutaric acid及びpyruvic acidの生成されることを確認し,分離同定した,グルコースの醗酵経過を追跡し, pyruvic acid生産のピークがα-ketaglutaric acidのピークに先行すること,その醗酵経過及び両酸の生成状況がPseudomonas 33Fの場合, Serratia marcescensの場合に似ていること,またグルコースのみならずgluconate, 2-ketogluconateからもα-ketoglutarateの生産されること, glucose, gluconate,からpyruvateの生産されること等の事実から, Homo-oxidative bacteriaとしてのGluconobacterPseudomonas, Serratiaと同様にglucose→gluconate→2 ketogluconate→pyuvate→α-ketoglutarateの経路をとつて代謝され得る可能性が有力に示唆された.最近T. E. KING及びV. H. CHELDELIN(10)Acetobacter suboxydansの酸化能をcell free extract及びintact resting cellを用いて研究し,この菌が酢酸及びTCA cycleの中間物質に対して有意義の脱水素能を示めさないこと,またglycolysisの経路を採り得ないことを報告しているが,著者等の今回の実験によれば,燐酸関与の問題は未決としてもKoepsell等の所謂direct oxidative pathwayの系がGluconobacterに於ても,主経路でないにせよ存在するように考えられる.

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