日本農芸化学会誌
Online ISSN : 1883-6844
Print ISSN : 0002-1407
ISSN-L : 0002-1407
魚体組織の腐敗生産物に関する研究
(第1報) DYER法によるトリメチルアミンの定量を阻害する溷濁現象について
斎藤 要鮫島 宗雄
著者情報
ジャーナル フリー

1956 年 30 巻 9 号 p. 531-534

詳細
抄録

1) 魚体の各組織を試料としDYER法によるTMA定量を行つた所,比色液に溷濁現象が現れ測定が不可能となる事をしばしば経験した.この溷濁は一般に組織の腐敗過程に現れ,しかもその間に消長のある事を認めた.
2) 溷濁の生成と強度は試料の種類と処理別によつて異り一般に水浸試料では顕著に起り,又〓游性魚類の幽門垂,賢臓,脾臓等に強く認められるがサメ肉には認められなかつた.
3) 溷濁生成物質の出現には試料のpH条件が重要な関係を有し,一般に好適生成pHは6~6.5前後にあり8以上及び5以下では殆ど生成しない.
4) 溷濁生成物質は酢酸第二水銀処理により原液中のTMA量に影響を及ぼす事なく完全に除去される故,この処理によりいずれの試料でもDYER法による定量が出来る事を確めた.

著者関連情報
© 公益社団法人 日本農芸化学会
前の記事 次の記事
feedback
Top