1958 年 32 巻 10 号 p. 795-800
(1) ゼラチンのペプチド鎖に及ぼす安息香酸,サリチル酸,ピロガロール或いはタンニン酸の影響を,6.1μ及び6.5μにおける赤外線の吸光度の比率の変化から究明した.
(2) 安息香酸,サリチル酸ではゼラチンのペプチド鎖に影響を与える可能性はすくない.
(3) ピロガロールではゼラチンのペプチド鎖に影響を与える可能性が多い.
(4) タンニン酸ではゼラチンのペプチド鎖に影響をあたえる.
(5) ペプチド鎖に対するタンニン酸の反応基は主としてOH基であると考えられる.
(6) ゼラチンは皮コラーゲンより誘導された蛋白質であるから皮コラーゲンに対するタンニン酸の吸着も,皮コラーゲンのペプチドに対し略同様にして行われるものと推定される.