日本農芸化学会誌
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32 巻, 10 号
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  • 佐々木 林治郎, 吉野 梅夫
    1958 年 32 巻 10 号 p. 733-735
    発行日: 1958年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) 濾紙電気泳動法をホエー蛋白質の分別に応用するについての実験条件を検討した.
    (2) 牛乳の酸ホエー蛋白質の分別について濾紙電気泳動法とチゼリウス電気泳動法とを比較検討した結果,濾紙電気泳動法が簡便に用い得る方法であることを認めた.
    (3) 濾紙電気泳動法により正常乳と乳房炎乳との酸ホエー蛋白質を分別比較した結果,両者の成分割合の異なることを明かにした.
    (4) レンニンによるカゼイン分解物を濾紙電気泳動法により分別実験した結果,三塩化醋酸可溶性部分にアスパラギン酸含量の異なる2成分の存在することを明らかにした.
  • 吉野 梅夫
    1958 年 32 巻 10 号 p. 736-738
    発行日: 1958年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    レンニンのカゼインに対する分解作用につき実験して次の結果を得た.
    (1) カゼインがレンニン作用により凝固するときの顕著な変化は可溶性窒素化合物を生ずることであり,それが凝固に直接関係するレンニンの特異的作用と推定される.
    (2) 結晶レンニンのカぜイン分解作用はpH 6以上においてpH 3以下よりも強く,レンネット市販品にはペプシンの存在が考えられる.
    (3) レンニンの作用によリカゼインから遊離アミノ酸は生じない.また2%三塩化醋酸可溶性化合物を構成するアミノ酸にチロシンは殆んど含まれないか或いは含まれても種めて僅かである.この点に関してトリプシン(pH 8.0),パパイン(pH 7.5)及びペプシン(pH 2.0)の作用はレンニン作用と全く異なる.しかるにペプシン(pH 6.5)作用はむしろレンニンと類以の作用を示している.
    (4) カゼインの凝固直後と90分後における2%三塩化醋酸可溶性部分構成アミノ酸には,アスパラギン酸の量に差が認められる他は大差ない.
  • 中村 路一, 石橋 慶次郎
    1958 年 32 巻 10 号 p. 739-744
    発行日: 1958年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) 植物病原菌の生産する新抗生物質を検索中に,稲胡麻葉枯病菌(Ophiobolus Miyabeanus)が抗黴性および抗細菌性物質を生産することを認め,本有効成分をオフィオボリン(Ophiobolin)と命名してその培養条件を検討した.
    (2) オフィオボリンは培養濾液をベンゼンにて抽出しエーテル溶液から柱状結晶が得られ,エーテル再結晶により融点181°の白色柱状結晶が得られた.
    (3) 紫外部および赤外部吸収曲線,その他の理化学的性質,および抗菌スペクトルからオフィオボリンは新しい抗生物質と推定された.
    (4) オフィオボリンは白蘚菌,トリコモナスおよび柿炭疽病菌,桃炭疽病菌,瓜炭疽病菌,甘藷黒星病菌,茄立枯病菌等の植物病原菌の生育阻止作用を示した.
    (5) マウスのLD50によりオフィオボリンの毒性を検討した.
    (6) オフィオボリンの稲葉加傷塗布部位に胡麻葉枯病類似の斑点を生じ,籾の発芽,発根を阻害し,自然罹病稲葉からもオフィオボリン類似の性質を示す区分が抽出されることから,稲胡麻葉枯病起因物質の一つであろうと推定した.
    尚著者らは昭和30年10月,日本農芸化学会第158回関東支部講演会において本報告を発表したが,たまたま昭和32年4月,伊太利のOrsenigo(18)Heiminthosporium oryzaeの培養濾液中よりCochliobolinと称する物質を結晶状にとりだし,籾の発芽を阻害することから胡麻葉枯病の毒素であると報じているが,その融点,紫外部吸収スペクトルからみてOphiobolinと同一物質ではないかと思われる.しかし赤外部吸収スペクトルその他の理化学的性状,あるいは抗菌性等については一切ふれていない.
  • (第3報)アルカリ液による卵白の凝固とその含硫アミノ酸の変化
    野並 慶宣
    1958 年 32 巻 10 号 p. 745-749
    発行日: 1958年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    卵をアルカリ液中に浸漬貯藏した場合,その卵白の凝固過程に伴う卵白中のメチオニン,シスチンの変化を検討するにあたり,先ず卵白をアルカリにて凝固させる方法及びその方法により卵白を凝固させた場合に,その凝固状態が鳥の種類,品種或いは卵の鮮度により差異を生ずる事実を検討した.その結果は次の通りである.
    (1) 鶏卵卵白を凝固させるに要するアルカリ量は〓卵の場合より多く,又新鮮卵は貯蔵により卵白が水様化した卵より,その凝固に要するアルカリ量が多い.
    (2) アルカリにより凝固した卵白は更に過剰のアルカリにより水様化し,この場合ニトロプルシッド反応が陽性となる.
    (3) 鳥の種類,品種により卵殻におけるアルカリ滲透速度が異るが,これは主として卵殻の厚さ,多孔性の差によるものである.
    (4) アルカリ液浸漬中に卵白中のメチオニン,シスチンは共に減少するが,シスチンの減少は著しく,アルカリによる卵白の凝固過程にはシスチンの関係する結合状態に変化を生ずるものと推定される.
  • (第3報)デンプンのアミロース含有量
    川村 信一郎
    1958 年 32 巻 10 号 p. 749-751
    発行日: 1958年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • 佐々木 林治郎, 慶田 雅洋
    1958 年 32 巻 10 号 p. 752-756
    発行日: 1958年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) 均質化処理によるカゼインの電気泳動的な変化を見ると,全乳をチェリーバレル2段式均質機で均質化処理した際には電気泳動図にはっきりとした変化は現れなかった.ハレル式均質機を用いて脱脂乳を均質化処理した際には,電気泳動図においてβ-カゼインの部分に変化が認められた.又均質化処理によりカゼインの粘度は低下し,ホルモル滴定値,チロシン反応値及びスルフヒドリル基の定量値が増加することを認めた.
    (2) 粘度の低下についてはカゼイン粒子が均質化処理により変形することがHostettler(1)により電子顕微鏡的に確認されていることを参照すると,少くともカゼイン粒子及び水和度の変化が推定される.
    (3) ホルモル滴定値,チロシン反応値及びスルフヒドリル基の増加については,カゼイン粒子の形が変化したために内部にあって今まで定量に関与して来なかった部分が新たに表面に現れた結果定量されるようになったこと及びカゼイン粒子の構成成分であるカゼイン分子が-CO-NH-及び-S-S-の部分において開裂したものと推定される.
    (4) カゼインに対するペプシン及びレンニン作用については,溶液粘度の時間的変化において均質化処理のものが低下しているのはカード・テンションの低下と関係があることを示すものである.
    (5) カゼインに対するペプシン作用をチロシン反応基の時間変化によって見ると,均質化処理によりその値が上昇することはカゼイン粒子の開裂により酵素反応の促進されることが推定される.
    以上の事実から均質化処理によりカゼインが変化することを確認した.
  • (その4) 紅茶の製造条件による揮発性カルボニル化合物の変化
    中林 敏郎
    1958 年 32 巻 10 号 p. 757-758
    発行日: 1958年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • (第27報)高農度仕込み(その2) 活性炭による収着法(1)ソルベントの収着
    山崎 何恵, 本江 元吉, 赤星 恭助
    1958 年 32 巻 10 号 p. 758-763
    発行日: 1958年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • (第28報)高農度仕込み(その2)活性炭による収着法 (2)醗酵試験
    山崎 何惠, 本江 元吉
    1958 年 32 巻 10 号 p. 764-770
    発行日: 1958年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • (第6報)肉のミオシン及びアクトミオシンのATPase作用について
    藤巻 正生
    1958 年 32 巻 10 号 p. 770-774
    発行日: 1958年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) ATPaseの測定条件を検討し,最適pHの値はミオシン6.8,アクトミオシン-S 6.5,アクトミオシン-L 5.9~6.2で蛋白質により異る結果が得られた.アクトミオシン(-S)の最適pHは動物の種類により異らないであろうと思われる.
    (2) ミオシン,アクトミオシンのATPase作用はカルシウムにより賦活され,マグネシウムにより阻害されるが,マグネシウムの阻害はミオシンにおけるよりもアクトミオシンにおいて著しい.
    (3) 同一試料より調製し,同一酵素濃度で比較した場合ATPase作用力の大小はミオシン>アクトミオシン-L>アクトミオシン-Sの順であった.
    (4) ミオシン,アクトミオシンの溶液を約0°に2週間貯蔵してもATPase作用力にほとんど変化がなかったが,そのスルフヒドリルは減少し(特にミオシンにおいて著しい), ATPase作用の変化とスルフヒドリルの減少とは平行しなかつた.
    (5) しかしながら尿素添加によってはATPase作用とスルフヒドリルとは平行して減少した.
    (6) 肉の熟成中水及び塩化カリウム抽出液のATPase作用は減少し,このことは抽出液中のミオシン,アクトミオシンの量的差異によるばかりでなく,それら蛋白質のATPase作用が熟成中変化するであろうことが予見された.
  • (第8報)肉の熟成が肉蛋白質の水和に及ぼす影響について
    藤巻 正生, 倉林 広子
    1958 年 32 巻 10 号 p. 775-778
    発行日: 1958年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) 肉蛋白質の水和の程度を示すと考えられるE. Wierbicki等の方法を検討後,各種肉類(牛,豚,馬,家兎,鶏,魚肉)についてその水和度を測定した.
    (2) 肉のpH値が肉の水和度に及ぼす影響を確認し, pH 5.3~5.5で肉の水和度は最低を示した.
    (3) 肉の保水力を増強すると考えられる各種燐酸塩(オルト,ピロ,トリポリ,ヘキサメタ各燐酸塩)及びアスコルビン酸塩の効果を肉の水和度の測定から実験し,燐酸塩においてはトリポリ燐酸塩を除いて上記の順序に水和度を増加せしめること,アスコルビン酸及びその塩は燐酸塩に比較すると小さいが,水和度を増加せしめる作用のあること,これらの作用はpHの影響によらないことが判った.
    (4) 家兎肉及び馬肉(鮮肉及び解凍肉)の熟成中それらの水和度の変化を追求し,肉の種類,肉の凍結により水和度及びその変化が異ること,また肉の熟成による水和度の変化は熟成に伴うpHの変化によるだけでなく,熟成中におそらくは生ずる肉蛋白質の反応の変化によって影響されることを明らかにした.
  • (第3報)火落菌の栄養要求
    田村 学造, 鈴木 弥彦
    1958 年 32 巻 10 号 p. 778-783
    発行日: 1958年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) 真性火葉菌は新生育因子hiochic acid以外にペプチド様物質を要求する.
    (2) 供試菌はチアミン,リボフラビン,ニコチン酸,パントテン酸,葉酸等のビタミンを要求し,又Tween-80を要求する.この他プリン又はピリミジン塩基類により生育が促進される.
    (3) 培地中のhiochic acid量を増加すれば(Ba塩として20~3γ/ml),生育速度が早くなるが,之を減少せしめると(Ba塩1.5~0.2γ/ml),遂次lag time及びgeneration timeが延長される.
  • (第4報)新生育因子Hiochic Acidの構造決定
    田村 学造
    1958 年 32 巻 10 号 p. 783-790
    発行日: 1958年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) hiochic acidのキニーネ塩及びS-ベンジルチウロウム塩の結晶を得,又そのラクトンを純粋に分離した.
    (2) 之等の分析値,諸性質及び赤外線吸収スベクトルより, hiochic acidのラクトンはC6H10O3の分子式を有する飽和のβ-オキシ-δ-ラクトンなることを推定し,之に適合する四つの推定構造式を挙げた.
    (3) 次で合成によりこの同定を行った.その結果天然のhiochic acidのラクトンは左旋性を有するβ-オキシ-β-メチル-δ-ヴァレロラクトンなることを確定した.
  • (第4報)皮コラーゲンとポリフェノール類との反応について
    佐藤 泰
    1958 年 32 巻 10 号 p. 790-795
    発行日: 1958年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) 皮コラーゲンとガロタンニンとの反応を明かにするために,タンニンの基本的反応基であるOHを2以上もつ化合物としてPg, Rs, Ct, Hqなどを用い,これらの化合物と皮コラーゲンとの及応について実験した.
    (2) これらのポリフェノールと皮コラーゲンとの反応には必ず水の存在を必要とし,水溶液中においてはHClの如き強電解性酸によって幾分吸着を妨げられるし,稀薄溶液における吸着平衡濃度と吸着量との関係は安息香酸やサリチル酸の場合に類似している点もある.従ってこの吸着反応にはポリフェノール類の2以上のOHから生ずるH+とコラーゲンの解離基との反応が一部関与しているものと考えられる.
    (3) 吸着されたポリフェノールの脱着は容易であり,飽和吸着量は各ポリフェノールのもつOH基の数と皮コラーゲンのペプチド結合の数に密接な関係を有すると考えられるから,この吸着反応は主としてOH基とペプチド-CO-NH-或いは-CO-N=との反応であると考えられる.
  • (第5報)ゼラチンとタンニン酸の結合におけるぺプチド鎖の関与について
    佐藤 泰
    1958 年 32 巻 10 号 p. 795-800
    発行日: 1958年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) ゼラチンのペプチド鎖に及ぼす安息香酸,サリチル酸,ピロガロール或いはタンニン酸の影響を,6.1μ及び6.5μにおける赤外線の吸光度の比率の変化から究明した.
    (2) 安息香酸,サリチル酸ではゼラチンのペプチド鎖に影響を与える可能性はすくない.
    (3) ピロガロールではゼラチンのペプチド鎖に影響を与える可能性が多い.
    (4) タンニン酸ではゼラチンのペプチド鎖に影響をあたえる.
    (5) ペプチド鎖に対するタンニン酸の反応基は主としてOH基であると考えられる.
    (6) ゼラチンは皮コラーゲンより誘導された蛋白質であるから皮コラーゲンに対するタンニン酸の吸着も,皮コラーゲンのペプチドに対し略同様にして行われるものと推定される.
  • 中村 幸彦, 下村 得治, 小野 浄治
    1958 年 32 巻 10 号 p. 800-802
    発行日: 1958年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    家畜に対して中毒作用を与える変敗飼料から分離され,且その中毒の因をなすと考えられるGibberelta fujikuroiの振盪培養濾液からマロン酸を分離した.このものはマウスに対しM.L.D.50 1.5mg/10g体重の毒性を有することからマロン酸は本菌の生産する毒成分の一つであると考えられる.
  • (第20報)乳糖解裂の機構(その2) 高温加熱牛乳中の生成糖,タがトースの分離,証明
    足立 達
    1958 年 32 巻 10 号 p. 802-805
    発行日: 1958年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    高温加熱牛乳中に生成する2種のケトースの中1種が不明であったので,その確認を行い,それがD-タガトースであることを明らかにした.このタガトースは加熱処理によるラクトース,グルコース,ラクチュロースの分解後期になってから,ガラクトースの残存蓄積と共に生成するが,ガラクトースから二次的に由来したものと思われる.
  • 大塚 謙一, 多田 靖次
    1958 年 32 巻 10 号 p. 805-810
    発行日: 1958年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • (第1報)形態学的特徴による分類に就いて
    原田雄 二郎, 板垣 史郎, 久保 重夫, 田中 史郎
    1958 年 32 巻 10 号 p. 810-816
    発行日: 1958年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • 追田 直一
    1958 年 32 巻 10 号 p. A125-A132
    発行日: 1958年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
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