日本農芸化学会誌
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甘藷の生長・肥大に関する生化学的研究
(第4報) 塊根生育中のL-アスコルビン酸,デヒドロL-アスコルビン酸及び2,3-ジケトL-グロン酸の変化
鈴木 繁男田村 太郎広幡 哲夫根本 芳郎荒井 克祐
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1958 年 32 巻 2 号 p. 151-155

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抄録
甘藷(農林1号及び沖繩100号)生育中における塊根のL-アスコルビン酸(ASA),デヒドL-アスコルビン酸(DHA)及び2,3-ジケトL-グロン酸(DKG)の変化を研究して次の結果を得た.
(1) 農林1号及び沖繩100号の両品種ともに,殆んど同様の経過を示すが,総ビタミンC, ASA及びDHAは生育中の変動がかなり著しい.
(2) 総ビタミンC含量は,生育の初期から一方的に減少し, 9月初旬に最小になり,この時期をすぎると直ちにピークを示す.
(3) 還元型ビタミンC (ASA)は8月4日に最小を,酸化型ビタミンC (DHA)は8月4日及び9月15日に, 2つのピークを示した.
(4) 総ビタミンC, ASA, DHA含量ともに,生育末期にはかなり安定し, DHAは極めて少量である.
(5) DKGは生育の全期間にわたり,殆んど変化が認められなかった.
(6) 両品種ともに生育中の総ビタミンC含量と,β-アミラーゼの活性度との間には,逆の傾向が見られ,生育中の甘藷において,ビタミンCによるβ-アミラーゼ力の阻害が行われる可能性を示した.
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© 公益社団法人 日本農芸化学会
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