1959 年 33 巻 6 号 p. 461-464
(1) Ricinus communis L.とRicinus sanguineus L.の2種類の箆麻子種実から結晶リシンとリシンTbとの分離を試みたが,結晶は後者から容易に得られた.この事から箆麻子の種類によりリシンの含量が異なる事を推察した.
(2)結晶とTbとにつきプロテアーゼ作用と血球凝集作用とを比較した結果,両作用共Tbの方が結晶より強く,毒性とプロテアーゼ作用とは必ずしも並行していない事を確めた.
(3)更に結晶リシンのプロテアーゼ作用は不純物である可能性を残しており,プロテアーゼ即リシンの考え方を再検討する必要がある事を認めた.