日本農芸化学会誌
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乳酸菌の酵素に関する研究(第13報)
乳酸菌のフマラーゼを利用するl-リンゴ酸の調製
北原 覚雄福井 作蔵三沢 正愛
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1959 年 33 巻 7 号 p. 528-531

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抄録

天然に存在するものと同じl-リンゴ酸を,フマール酸から調製することを目的とし,ある種の乳酸菌には強力なフマラーゼを有することを利用して,当研究室保存の乳酸菌中18種について,フマラーゼ力を比較しLactobacillus brevisが最も強力であることを再認した.この菌を用いてフマラーゼの諸性質を検討した所,基質にフマール酸ソーダを用いるより,二価金属塩を用いた方が平衡をよりl-リンゴ酸生成側に片寄らす為,リンゴ酸生成には有利であることを知った.更にフマール酸石灰が大部分水に溶けていない二相系の状態で反応させると平衡恒数と溶解度との関係で反応はl-リンゴ酸生成の方向に一方的に進み,遂に固相部分は殆んど全部l-リンゴ酸石灰へ変ってしまうことを知ったが,これは実用の可能性を持つであろう.

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