日本農芸化学会誌
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フラビンに関する研究(第2報)
リボフラビン欠乏時の蛋白代謝機構白鼠各組織のトランスアミナーゼ及びリボヌクレアーゼ活度について(其の1)
満田 久輝河合 文雄外村 弁一郎
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1959 年 33 巻 9 号 p. 785-789

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抄録

リボフラビン欠乏による異常蛋白代謝を明らかにする目的で,先ず欠乏白鼠各組織のフラビン含量及び2, 3の酵素活度を,正常群のそれと比較し次の結果を得た.
(i)腎,心のフラビン含量は欠乏によって60~70%に減少するがFMNとFADの量比は大差はない.然し肝ではFADが約50%に減少しFMNは僅少量となる.
(ii)欠乏により肝のキサンチンオキシダーゼは約50%に,グリコール酸オキシダーゼ及びD-アミノ酸オキシダーゼは約20~30%に活度が低下する.
(iii)リボフラビン欠乏時のトランスアミナーゼについては,肝においてはGOT活度が著しく高くなり, GPT活度もやや高くなる.腎ではGOT, GPT活度は共にやや高いかまたは同程度である.肝における活度の変化は蛋白欠乏食の場合と一致しない.これは飼料中の蛋白質の有無に起因するものと推論した.
(iv)しかして正常群ならびに欠乏群の肝におけるGOT及びGPT活度の比を求めるときは,蛋白欠乏食ならびにリボフラビン欠乏食共に類似の値となる.
(v)水抽出したホモジネートのリボヌクレアーゼ活度は,各組織共欠乏群の方がやや高いが有意の差とは認められない.この結果は細胞成分に分画した後更に確めねばならない.

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